本屋大賞に入賞した『ひと』、その続編に位置付けられる作品『まち』についてみていこうと思う。
あらすじ
群馬の小さな村・尾瀬で生まれた瞬一は小さいころに火事で両親を亡くし、祖父に育てられていた。
しかし、「東京に出ろ」という言葉を賭けられた高校を卒業するタイミングで上京する。
荒川沿いのアパートでアルバイトをしながら暮らし、助け合いながら生活する。
ある時、祖父が東京に現れ……。
東京に住む若者の日常を切り取った一作。
感想・書評
正直な感想としては、続編としての『まち』は求めていたものではなかった。
そういう部分について掘り下げて話していこうと思う。
前作『ひと』という作品の良さ
前作「ひと」については以前記事にまとめているので詳しい書評についてはそちらを参考にしてもらいたい。
まずはざっくりとした感想・書評を記したいと思う。
①社会の不条理との対峙
『ひと』の良さは主人公・聖輔が社会の不条理さに立ち向かうさまである。
父親を亡くした聖輔であったが、それでも大学生活を送れるくらいには生活を営むことができていた。
しかし、加えて母親を亡くし大学を退学することで突如として社会に放り込まれてしまう。
良い大人・悪い大人とも対等な立場を強いられる”社会人”になってしまうのだ。
金銭での揉め事であったり、仕事内容や職場の人間関係の難しさ、そして家族がいない孤独。
そんな中でも生きなくてはいけないという無常さに青年が立ち向かっていく。
その力強さに惹かれた部分がある。
②将来の展望
そしてもう一点、聖輔は将来への目標に頑張っている姿が見られるというのも魅力である。
人生に絶望を感じつつもそれでも前に進もうとする。
自分が今やるべきことを積み重ねつつ、将来的には料理人になりたいという目標を掲げているひたむきさは応援したくなる要素である。
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