【2020年本屋大賞】『そしてバトンは渡された』「優子と親子について」【書評・感想】著者:瀬尾まいこ

小説

 今回は瀬尾まいこ氏の『そしてバトンは渡された』という書籍について見ていこうと思う。

 今回は「優子と森宮さん」と題して作品を振り返っていく。

あらすじ

 優子がまだ幼い時、彼女の母親は死別してしまった。

 父親は再婚するものの、優子が小学4年生の終わりに海外赴任が宣告される。

 今後の自分の人生を決めきれない優子は日本に残ることとなり、父親の再婚相手と暮らすこととなる。

 その後、優子を繋ぐバトンは引き継がれていき、2人の母親と3人の父親を持つこととなる。

 苦労にまみれながらも、それぞれの”愛”を受け育った優子の半生を描いた物語。

感想・書評

 この作品について述べたいことは様々あるが、今回は優子という人物のコミュニケーションに着目したいと思う。

 優子とは他人との距離を割り切ったものと捉えていた。

 悪い言い方をすれば交友関係が非常にドライ、よく言えば現実主義である。

「でも森宮さんには物足りなさを感じるのよね。腹を割っていないというか

 一歩引いている部分があるというか。」

『そして、バトンは渡された』P10  発行所:株式会社文藝春秋 著者:瀬尾まいこ 

 物語序盤、高校の担任・向井先生が評価した優子という人物像は実に的を得ている。

 その大きい要因として挙げられるものが彼女の家庭環境である。

 血の繋がった母親とは死別し、血の繋がった父親は遠い異国に転勤する。

 学生時代の多感な時期に出会いと別れを繰り返したことは、優子の価値観に大きな作用したことは間違いないだろう。

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