映画『愛がなんだ』についてまとめていこうと思う。
今回は「テルちゃんはどうなりたかったのか」という点に注目してみていく。
あらすじ
細くて華奢で猫背でかわいい男・マモちゃんと出会ってからテルちゃんの人生は大きく変わった。
電話で呼び出されればすぐに駆けつける。帰宅していても、お風呂の最中でもお構いなし。
好きな人のために仕事だってサボるし、クビ覚悟なんてあたりまえ。
しかし「恋人」ではないテルちゃんとマモちゃん。そんなマモちゃんには気になる人ができてしまい……。
感想・レビュー
テルちゃんは一体どうなりたかったのか
テルちゃんはマモちゃんに何になりたかったのか、そしてどうなりたかったのかという部分を深掘りしてみていこうと思う。
「都合のいい女」であること
テルちゃんは「都合のいい女」であった。
物語の冒頭、マモちゃんから風邪をひいてしまったから都合が合えばご飯を買ってきてほしいという電話が入る。
友達だから看病ぐらいとは思うかもしれないのだが夜も更けている状態、しかも彼女でもない女性を呼び出そうとしている。この時点で都合よく扱われていることがなんとなくわかってしまう。
その後、同じように深夜手前の時間帯にご飯を食べようと電話で誘いがくる。
そしてこの飲みのあとのワンナイトを経て、マモちゃんとテルちゃんはずっぷりとした関係性になる。
ほぼ毎日マモちゃんから連絡が来るようになる。テルちゃんは100%会いに行くし、終電がなければ当たり前に泊まっていた。
これが「都合のいい女」なのである。
都合のいい、とする根拠はいくつかある。
まずこの段階での描写として、マモちゃんがテルちゃんを誘うという構図であるという点である。マモちゃんのタイミングでしか二人が会うことはないし、マモちゃんが会う・会わないを決める権限を持っている。
また序盤の看病をした際、テルちゃんは無断で掃除を続けていた。
自分のテリトリーを荒らされることを嫌うマモちゃんは半ば強制的にテルちゃんを家から追い出す。
気に入らないことがあったとしても、自分が看病してほしいと呼び出し、かつご飯まで作らせておいて終電がない時間帯に女性を一人で帰す。このようにマモちゃんは圧倒的に主導権を握っている立場である。
そしてマモちゃんが振り回すという立場にあるという点である。仕事があるにも関わらず、動物園に行こうと思い付きのような形で提案をする、テルちゃんが好きであるとわかっているだろうに、飲み会終わりに「山田さん、ウチくる?」と提案までするのである。
マモちゃんは常に強気の立場で立振る舞いをする。
何よりそういう深い関係ではあるが、「彼女」という括りにはあてはまらない。その一線を越えることはないのである。
適度に遊べて、適度にご飯を食べに行けて、適度にヤレる。そんな都合の女であり、良いように使われてしまっている。
しかしながらテルちゃんはそれに全て応えてしまっている。むしろテルちゃんのほうから、都合よく使われにいっているのかもしれない。
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