あらすじ
弁護士である城戸章良に過去の依頼者・里枝から再び連絡が来た。
「死んだ夫の身元を調べて欲しい」という依頼であった。
里枝の親が経営する文具店を度々訪れ、常連客となった「谷口大祐」という男と里枝は友達になる。
その後、二人は結婚することとなるが「谷口大祐」は山での仕事中に事故で亡くなってしまう。
「亡くなっても家族に知らせないで欲しい」と生前から話していたことがあったが、里枝一家は”家族には知らせるべき”という結論に至る。
「谷口大祐」の実家に手紙を送り、ほどなくして彼の兄がやってくることとなる。
「ああ、……どなたですか?」
里枝が知る「谷口大祐」と本当の『谷口大祐』の顔・体形は別人のものであったのだ。
この珍事件に警察も動かず、困り果てた里枝は城戸に解決を依頼をしたのであった。
城戸は自称「谷口大祐」をXと呼び、捜査を進める。
Xが語る『谷口大祐』の経歴は本物の『谷口大祐』の経歴と遜色はなく、さらに本人にしか知り得ないような家庭環境まで知っていた。
また里枝は「X」の過去にはほとんど触れていなかったため、いよいよ「X」が何者か、謎が深まっていった。
Xは何故、「谷口大祐」を名乗ったのか。本物の『谷口大祐』はどこに行ったのか?
謎が謎を呼ぶ、サスペンス・ミステリー要素が詰まった一作。
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