【感想/レビュー】『一ノ瀬家の大罪』「一ノ瀬家の家庭崩壊」【考察】タイザン5

　今回は謎に包まれている「一ノ瀬家の家庭崩壊」をテーマに『一ノ瀬家の大罪』という作品を見ていこうと思う。

　作品に準拠して話してはいくつもりですが、考察ということでわたくしの想像やら妄想やらが入り混じっております。そのあたりはご容赦くださいませ。

一ノ瀬家の家庭崩壊　

　まずもって一ノ瀬家では大きな家庭崩壊が起こっていたということは間違いない。

　これは第1話「一ノ瀬家の復活」にて、映し出されていたリビングがかなり汚れていたことや翼の自室が「死」という文字で埋め尽くされていたことからも想像がつくことだ。

　かつ各々が自分の部屋を初めて見てからよそよそしくなったということからも、何かしらの闇を抱え込んでいるということがわかる。

　その家庭崩壊とは何だったのかという部分を考察していこうと思う。

　まず語るべき点は翼の過去である。

　そのことが掘り下げられる回が第4話「中嶋の追憶」だ。

　ここでは中嶋視点で小学校時代からの翼が思い出される。

　小学校時代は南小FCに所属していた翼。

　エースナンバー10番を背負い、MVPを獲得したことで地元のケーブルテレビからの取材を受けるなどサッカーの才能で溢れる少年であった。

　加え、クラスでも目立つタイプではなかった中嶋をサッカーに誘うなど人望の厚さも感じられる。

　そんな翼だったが、突然サッカーを辞めることとなる。

　しかし辞めるという選択は翼が望んでいたことではなかった。

　中嶋とは中学校に入学したら一年生からレギュラーを目指すことをしていた。

　加えて、中嶋パパが“家庭の事情”で辞めたと話している。

　詳しくは明らかになっていないが小学校の中学年～高学年くらいの時期に起きた出来事である。

　翼が辞めたあとでも中嶋はサッカーを続けていた。

　決して才能がある方でもないが翼との約束を果たすため努力し続け、中学校でレギュラーを掴むまでに至る。

　そのこと翼に報告するも、そんな約束は覚えていないと話す。

　ただ覚えていないというよりかは「そんなことはどうでもいい」という対応であった。

　小学校時代にみせた明るさはすでになく、憔悴している様子がひしひしと伝わる。

　これが中学1～2年生の出来事である。

　このことをきっかけに中嶋によるいじめが始まる。

　ただ第2話「翼の登校」での描かれていたいじめの映像を見ても抵抗する素振りは見られない。

　抵抗する気力がもうないといったほうが正確かもしれない。

　人生への諦めを感じてしまうほど、翼には覇気がみられない。

　この小学校中～高学年と中学1～2年生の間に翼の人生と人格を揺るがすような出来事が起きたことは間違いない。

　過去の翼がわかる箇所がもう一つある。

　第1話「一ノ瀬家の復活」にて翼が家族写真を眺めるシーンだ。

　顔が黒塗りにされてはいるが、真ん中にいる詩織が指を7つに立てて正面にはケーキがおいていることから、詩織が7歳の誕生日を迎えた際の記念写真であろう。

　翼が不貞腐れた顔をしているが、この時はまだ幸せそうな様子が漂う。

　おそらく詩織とは年子のはずであるから、当時の翼は8歳で小学2年生の写真だ。

　つまりは小学2年生から中学1～2年生の間に何か重大な事件が起きたのである。