【書評・感想】『お探し物は図書館まで』「小町さんと付録」作:青山美智子【2022年本屋大賞】

小説

『お探し物は図書館まで』 あらすじ

 生きていくうえで仕事は切っても切り離すことができない関係にある。

 「生きる」と「仕事」に悩みをかかえた人々が何かの拍子に誘われて訪れる、とある町の図書館。

 少し個性的な司書さんがオススメする本をきっかけに人生が動き出す。

 年齢・性別・職業。それぞれ全く異なる5人を人生を切り取った短編集。

『お探し物は図書館まで』 感想

 「働かざる者食うべからず」という言葉があるように、人生は仕事と密接に結びついている

 そもそも生きていくため食べなくてはならないし、そのためにはお金が必要だ。

 つまり仕事を欠かすことができない。

 ただ人生との繋がりが深い故、悩みが尽きないというひとがほとんどだ。

 本作はそんな「仕事と人生」に行き詰った5人の人物が登場する

 今の仕事がうまくいかない人、仕事を辞めようと悩んでいる人、仕事に不満がある人、夢の仕事を諦めたもの、仕事を退職した人。

 人生も、目指すべく理想像も千差万別。人の数だけ生き方がある。

 特に近年は多様性が求められる時代となった。

 大企業に勤めるサラリーマン、あるいは専業主婦で子育てする。

 そんな一世代・二世代前に横行していた”普通の幸せ”という価値観が崩壊しつつある。

 性別や年齢、出生に捕らわれない働き方が求められているし、結婚観についてもさまざまで”個人の自由”が尊重されている。

 実情としては叶っていないかもしれないが、人々の内面ではこうした価値観がかなり浸透しつつあると感じる。

 生きやすくはなった一方で、”人生の正解”ルートがなくなっている。

 生き方の指標が見えにくくなったと言い換えてもいい。

 SNSの普及によってさまざまな生活が見えるようになった。

 またインターネットが発達したからこそできた職業もある。

 つまり職の可能性は非常に広がった。

 何でもなれる可能性があるからこそ、何を仕事にすべきかというのは大きな課題だ。

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