スミレさんの登場
しばらくぶりにマモちゃんから連絡が来たため、期待をしながら向かった先にはスミレさんという女性も同じ場所にいた。
派手髪にタバコを吸い、美術系の予備校の事務というだけあって目立つファッションをしている彼女にマモちゃんは恋をしていた。
軽いノリで話を進め、料理がでると取り分けることなく真っ先に、かつ真ん中にフォークを刺し食べる。
テルちゃんとは正反対のガサツで適当な部分が気に入ったらしいのだった。
また少し時間がたち、今度はスミレさんから連絡が入る。
そこにマモちゃんはいなかったが、呼ばれてもないマモちゃんを呼んでしまう。
“好きな人の好きな人”がいる場所に、”自分が好きな人”を呼ぶのである。
これはなかなかできない選択だと思う。
好きな人を別の女性に取られるかもしれないというリスクよりも、自分が好きな人と同じ空間に居たいというリターンをとったのである。
マモちゃんがスミレさんに積極的にアタックするということはおそらくわかっていた。加え、それを指くわえてみなくてはいけないことも知っていたはずだ。
どれほど辛くなるとわかっていても「会える」というだけでマモちゃんを呼んでいる。
しかし、スミレさんはあまりマモちゃんには興味がない様子。自分が求める展開にならないことに鬱憤が溜まったマモちゃんはテルちゃんに体の関係を求める。
そこでもテルちゃんは拒否しようとしない。むしろそれを受け入れようとする。
ここでもマモちゃんはスミレさんに振り向いてもらえず、その欲求のはけ口として扱われている。
つまりはNO.1になれないことを示している。
また「どうして親切にしてくれるの?」とマモちゃんがテルちゃんを「友達」というくくりでしかみていないこともわかる。
それでも求められた体の関係を拒否しない。「友達でも利用される関係でも傍に居たい」という強い意思の表れである。
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