テルちゃんとマモちゃん
マモちゃんのほうからテルちゃんの家を訪れる。
そこでマモちゃんは会うのを辞めようと提案をする。
ヨウコから恋人ではなく、おそらく永遠に恋人にならないダラダラとしたこの曖昧な関係をやめるよう言われたのであった。
しかし、テルちゃんは「マモちゃんのことはもう好きではないから友達の関係を続けよう」と話す。
それに納得したマモちゃんは関係性を続ける。
実際にはマモちゃんの好意を捨てきれない。
好きではない演技をして、別に好きな人がいるふりをし、自分の本心を隠してでもどうにかマモちゃんの傍にしがみつこうとする。
テルちゃんが関係を断ち切っていれば、マモちゃんは愛を無下に扱うという残酷さを理解し、少しは関係性が良くなっていたのかもしれない。あるいは別なひとともっと幸せになるという未来があったかもしれない。
それでもテルちゃんは「マモちゃんのそばにいる」というもっとも過酷で困難で残酷な道を選んだのであった。
テルちゃんが抱えているのは純粋な恋ではない。異常なほどの執着心と、恋愛感情を超えた憧れを拗らせた結果であるように思える。
「私はマモちゃんになりたい。それかそばにいられる存在になりたい」というセリフからも、付き合うという感情ではなく、「本人になりたい」という憧れであることが読み取れる。
また同じ境遇であった仲原に対し、執拗までに諦めないことを勧めたのも自分では抑えることのできない執着心を理解してくれる人が近くにいて欲しかったのだと考えられる。
この物語の結末では、テルちゃんはゾウの飼育員になる。
これはマモちゃんが33歳になったときになりたいと語っていた職業である。
テルちゃんはマモちゃんが適当ではあるものの一度は考えた「ゾウの飼育員」という職業につくことで、マモちゃんを理解し少しでも近づけるように、追いつけるようになりたかったのだと思う。
テルちゃんはマモちゃんに憧れていたのだ。
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