見どころ③ 少し大人な雰囲気
主に登場する城戸と里枝など、30~40代の大人っぽい会話が主となる。
子供をもつ親の気持ち、マンネリ化した夫婦関係、新しい女性との出会い、今後の生き方……。
成熟しつつある大人ならではのビターな雰囲気を楽しめる作品である。
〈総評〉
推理小説などでは事件を逆算することで犯人を追い詰めるが、本小説は「未知の考察」という少し新しいスタイルとなっている。
どのくらい正解に近いのかわからない城戸の調査をヒントに「X」の正体を考察することは至難の業である。
だからこそ続きが気になってしまうし、謎を最後まで楽しむことができる内容となっている。
ぜひとも一度手に取っていただきたい。
〈書籍〉
平野啓一郎 『ある男』 2018 文藝春秋
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