今回も『一ノ瀬家の大罪』について見ていこうと思う。
前回の話については↓からどうぞ。
考察
翼の影響で過去の記憶を取り戻してきた美奈子。
そこでは父・翔が浮気をしていたこと、それを隠し通そうとしていたことが明らかになる。
その最中、この”新しい翔”がいる世界においても”本物の翔”はハンバーガーショップでアルバイトをしていることが明らかになる。
加えて、元の世界での浮気相手と会っていることが判明。
翼と美奈子は浮気相手の家を訪れるが……。
美奈子が語る真実
玄関を開けて出てきたのは浮気相手本人ではなく、その子供であった。
そそくさと退散する翼であったが、美奈子は浮気相手の息子・けんたが手に持った翔を含む3人の仲睦まじい似顔絵をみて精神的な負担を抱えることとなる。
その後、翼からは美奈子へは核心を突く質問をされる。
「お母さん何か思い出してるよね!? 翔さんのこと…」
『一ノ瀬家の大罪』14話「美奈子の告白」
翔のことをあんなやつと罵り、興味を抱かなかった翔の家までついていったことで、翼は記憶を取り戻したのだと確信していた。
そこで美奈子は翔が不倫をしていたことを直接的に告げる。
普段はそこまで感情を露わにしてこなかった美奈子が、実の息子相手にそこまでストレートに話すということはそれほどまでに追い込まれていたという証拠でもある。
かなり精神的に衰弱していたのだろうし、心の負担はものすごいものだったに違いない。
「私は思い出したくなんかなかった!!!!」
『一ノ瀬家の大罪』第14話「美奈子の告白」
知らないほうが絶対に幸せだったと、息子に対してものすごい形相で迫りかかる。
自分の夫である人物はリストラされたというのに社会人としてのプライドがなく、アルバイトでの生活に満足してしまっている。
生活の面では妻である美奈子に大きく負担してもらっているはずなのに、自分は悠々と不倫をしている。
その苦しく辛い現実を思い出したくはなかったのだろう。決して直視したいものでもないはずだ。
そうしたひどいストレスを抱えた美奈子は翼に対してかなり強く当たってしまう。
そしてこのシーンで車の中でペットボトルを手渡す美奈子の姿を思い出す。
この場面は第10話「翔の消失」を彷彿させる内容である。
そして「最後なんだから」というセリフからも睡眠剤入りの飲み物を手渡し、一家心中に向かう途中であると推測できる。
つまり第1話~と第10~の二つの世界以外にも、一ノ瀬家が一家心中を実施した”元の世界”が存在するということだ。
そこでは少なくとも美奈子が計画した一家心中であったと考えられる。
続いて気になるのは美奈子が発した翼への発言だ。
「翼くん、”いっつも”余計なことばかり」、「”今日くらい”言うこと聞いてね」というセリフから見て取れるように、普段の翼はかなり反抗的であることが言える。
一方で家族間の関係性には「何もせず眺めていた」と述べている。
このことからも、翼と美奈子という直接的な関係性において何か大きな軋轢があったのだと考えらる。
その意味では、やはり翼の中学受験説を推したいと思うところである。
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