【感想/レビュー】『一ノ瀬家の大罪』「名前の重要性について」【考察】タイザン5

一ノ瀬家の大罪

名前という存在

 『一ノ瀬家の大罪』第2~5話までは確かに翼と勇希の2人を軸にした物語である。

 しかしながら、「翼と勇希の物語でしかない」という点も興味深い。

 その最たる例が「名前」である。

 第2話から伏線は張られてた。

 「先生誰だっけ」と忘れるところに限らず、翼は担任の名前を5回も間違うのだ。

 一見、普通の雑談に見えるが、「名前を覚えられない」という部分が大事になる。

 先ほど中嶋勇希の名前について掘り下げたが、モブたちの名前が一切明かされていないという点が不自然すぎる。

 基本的に漫画でも小説でもドラマでも「名乗り」という部分はかなり重要である。

 しかし、『一ノ瀬家の大罪』では名前が登場することがほとんどないのだ。

 もっと話すと「一ノ瀬家」と中嶋勇希という少ない人数しか名前が出ていない

 この考察記事では七三、金髪チャラ男、ヘアバンドと勝手に命名していたが、このクラスメイトの名前が一向に明かされることはなかった

  (説明するのに固有名詞がないので考察記事では苦労しているのである……。)

 特に七三は表面上こそ目立った動きはないものの、重要な役割を担っている。

 いじめの現場を常に撮影していた、勇希がいじめを受けるきっかけをつくった、翼が残飯をかけたことを担任に報告したなどなど。

 行動や表情が注目されるキーマンであるにもかかわらず、名前が明かされていない

 それでも名前がわからないということは、翼や勇希にとって「どうでもいい人物」であるからのように感じる。

 確かに2人に対しての影響度は大きいのかもしれないが、人生における重要度という点では低い位置にあるのだと思う。

 関与こそしてはいるが興味関心が薄いため、「モブキャラ」の域をでることはないのだろう。

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