今回は『一ノ瀬家の大罪』第5話のレビューをしていこうと思います。
前回の記事はこちらから。
考察・レビュー
第4話では翼と勇希の過去が明らかになった。
仲が良かった記憶の欠片を取り戻しつつある翼は、勇希がいじめられる現実にどう立ち向かうのか、というところで終了していた。
翼の心情
さて、ここで翼の心情というところに着目したい。
第2話・第3話で学校での翼を描いて、第4話では中嶋勇希の過去が明らかになった。
視聴者目線では勇希の孤独な過去や成長がみれ、翼が過去に「何か」があったことを知っている。
何より、翼と勇希がいかに仲が良かったのかを示していた。
ただ第4話で勇希の記憶が見れただけで、第5話の翼は記憶が取り戻したわけではない。
つまり第5話時点で翼自身は勇希とどういう関係性だったのかわからないのだ。
そんな状態でも翼は勇希への攻撃を中断することを決める。
中嶋が自分で残飯を被ろうとする行為に対し、「それは違うだろ!」と翼が放つのは親友だったという事実が心に刻まれているからに思える。
ある種、魂の叫びとでも言い換えることができるだろう。
ただ翼の記憶だけではなく、立場で考えても難しい選択をしたことは明らかである。
翼の立場
まずは翼の立場について振り返ろう。
現在の翼は「記憶を失っている」というディスアドバンテージがある。
つまりはクラスの人間関係や権力構図を知らない状態である。
加えて翼はいじめられていたという経緯がある。
そんな中で、誰を仲間につけるべきかというのはかなり重要な点である。
第2話で勇希による裏切りを経験しているわけで、そういった意味でも自分の味方を選ぶ必要性はある。
いじめを避けるため、という観点で考えるとマジョリティ側につくのが生存的戦略だ。
つまりがクラスメイトが望む「勇希をいじめる立場」に賛同することである。
そうすれば少なくとも翼自身へ標的が変わることはないだろう。
しかし、翼は「勇希を助ける」という選択を取る。
コメント