【感想/レビュー】『一ノ瀬家の大罪』「名前の重要性について」【考察】タイザン5

一ノ瀬家の大罪

名前=心の距離

 名前=心の距離ということについては第4話が重要である。

 小学校時代の中嶋勇希は弱気で消極的な少年だった。

 もともと「中嶋」と呼んでいたが、サッカーの才能を見出された瞬間に翼は「勇希」と呼び名を変える

 心の距離が縮まった証拠である

 しかしレギュラーになれていなかった小学校時代には、周りから「中嶋」と呼ばれている。

 このことから翼以外とは心の距離があったことが伺える。

 一方の翼を見ていこう。

 小学生時代、南小FCの10番を背負い、MVPでケーブルテレビからの取材を受けるほどサッカーがうまかった将来有望な翼は「翼」と名前で呼ばれていた

 そこには親しみと信頼が込められていたように思える

 しかし、家庭環境の悪化から南小FCを辞めることになってから、周りの対応も変わりだす

「一ノ瀬最近なんか暗くね」

「わかる~。あいついると空気悪くなるわ」

「もう放っとこ」

『一ノ瀬家の大罪』第5話

 七三と金髪チャラ男による会話であるが、これは南小FCを脱退する前後の会話だろう。

 翼の人望を見限りだしたこの時には「翼」という呼び方から「一ノ瀬」へと変化している

 そして中学ではすでに「一ノ瀬」呼びで定着している。

 ただ周りが翼から距離を置き「一ノ瀬」へと呼び方が変わる中で、勇希だけが変わらず「翼」と呼ぶのだ。

 例え中学校で環境が変わり、いじめに加わる側であったとしても、小学校時代の尊敬と友愛を捨てることができなかったのだろう。

 どうしても心の中では輝かしい翼の存在があり、いつまでも「翼」と呼んでいるのだと思う。

まとめ

 『一ノ瀬家の大罪』という作品を「名前」という切り口でみてみましたが、いかがだったでしょうか?

 何か新しい発見や作品の奥深さがわかればいいなと思います。

 今後も記事は書き続けますので、どうぞよろしくお願いします。

 

 

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