『一ノ瀬家の大罪』という作品は「七つの大罪」と呼ばれる人が持つ欲望との関連性は強い。
本記事ではその二つの関連性と今後の考察をしていこうと思う。
「七つの大罪」との関連性
まずは「七つの大罪」との関連性である。
タイザン5先生の前作『タコピーの原罪』では「原罪」という言葉があるように、キリスト教の「原罪」をモチーフとしている。
そういう繋がりを考えると「大罪」は「七つの大罪」を意味しているといえる。
また第1巻でも家族が6人に対して、椅子が7つあるということからも7つという数字は確実に意識しているだろう。
まずは関連性ということで、一ノ瀬家と「七つの大罪」との対応について考察していく。
翼と「憤怒」の罪
翼に対応する罪は「憤怒」であると考える。
その根拠として挙げられるものが中嶋に対してみせた感情の昂ぶりである。
記憶を失う前、壮絶ないじめがおこなわれてきたことが明らかになった第2話。
続く第3話でもその悲惨な状況は続くが、ついに中嶋に対して反抗する姿をみせる。
「きっと言えなかったんだろ俺」
『一ノ瀬家の大罪』第3話「翼の日常」
今まで耐え忍び、抑えてきた過去の分までの思いを発露し、次々と中嶋へ罵倒を繰り返す。
翼が反抗した結果、いじめは悪化するかと思われていたが、そこで待っていたのはいじめの対象となっていた中嶋であった。
「いじめていた相手に噛みつかれる」という失態をみせた中嶋はいじめっ子としての権威を失ってしまったのだ。
いじめっ子に対する復讐という意味では、傍観者からしたらこの上ないエンタメである。
翼は自分のうちにある良心との葛藤から、このいじめを止めるべきかどうかを躊躇う。
「許すわけねーだろ土下座して床舐めろ」
(あれ?)
それは自分じゃ考えたこともないような怒りの言葉だった。
『一ノ瀬家の大罪』第4話「中島の追憶」
ここで「怒り」というはっきりしたワードを使用し、沸々と煮え切った感情を爆破させていることから、翼は「憤怒」の罪を背負っていると考えられる。
また第8話にて詩織とケンカした際、手を差し伸べる翼に対して詩織は「関係ない」と一蹴する。
翼は自分の思い通りにいかないことにイラつきをみせ、バカにした口調で悪口を重ねる。
この場面も「憤怒」に近い場面であるといえるだろう。
そして「憤怒」の対義語として「忍耐」という語が用いられる。
裸で土下座し、残飯をかけられるといういじめが日常的に行われるにもかかわらず、それをひたすら我慢し続けている。
「忍耐」との関連性も強いのだ。
以上のことから翼は「憤怒」の罪と関連が深いと考える。
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