【感想/レビュー】『一ノ瀬家の大罪』「一ノ瀬家の家庭崩壊」【考察】タイザン5

一ノ瀬家の大罪

翼がサッカーを辞めた理由

 翼が壊れてしまった原因はずばり中学受験である、と私は考えている。

 その根拠について説明していこう。

 やはり注目すべき点は、翼がサッカーを辞めてしまったということである。

 これまで見てきたように、翼にはサッカーの才能がある

 翼自身も続けたがっていたし、本来であれば家族も続けさせることだろう。

 辞めた理由という部分から考えてみる。 

 まず①翼がサッカーを嫌いになったという可能性

 これは一番あり得ない。中嶋と一緒にレギュラーを目指す話をしていたし、中嶋パパが話す家庭の事情に当てはまらない。

 ②人間関係が嫌になった

 これもないだろう。確かにモブキャラである七三たちは手のひら返しが激しく、嫌な奴として描かれている。

 しかし”もう放っとこ”と避けるようになったのは翼の性格が暗くなったことが原因であり、それまでに関係性が悪化していたとは考えにく。

 またこれも家庭の事情とは遠いものである。

 ③金銭的な問題であるが、これも考えにくい。

 まず食事を見る限り節制している様子はない。自炊はせずに菓子パン大量買いをしているから食費はかかるだろう。

 加えて父・母・祖父と3人も働き手がいる。暮らしには困らないはずだ。

 何より6部屋の個室がある時点で、それなりの経済力が担保されている。

 これらのことより、経済的な困窮により南小FCを辞めたとは言い難い。


 つまりこれらの理由とは別に、辞めなくてはいけない理由ができたのだ。

 そうなると選択肢は狭まるわけだが、その中でも可能性が高いものが中学受験である。

 まずは第1話「一ノ瀬家の復活」にて、見開きで描かれる汚いリビング。

 ところどころで見える文字があるが、その中に「教育しないママ 私が息子を医学部に入れた理由」という本や、「中間一貫校」という新聞記事が見える。

 このことから一ノ瀬家では中学受験に関わっていたことが推測できる。

 特に書籍に関して、あえて“教育しないママ”というキーワードを拾っているのだから、受験を押していたのは母・美奈子であることは間違いない

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