② やっていることは面白そう
とはいえ、1-2話で制作していた「学校アクションゲーム」も、3話で制作した「商店街イヌネコ探しゲーム」も面白そうなので、かなり引きがある内容であった。
特に第3話ではゲームを遊んで喜ぶ子供の姿をみた日隈が、ゲーム作りに惹かれていくというストーリー性には心を動かされるものがあり、日隈という人間の魅力に気づかされる回でもあった。
それと同時に來暇の行動力や謎めいた人脈も、來暇の魅力として伝わった良い回だったと思う。
1-3話にかけての構成としては迫力にはやや欠けるものの、素人ながら十分な内容と思えた。
② ライバルという存在
ジャンプという誌面においてはライバルという存在が欠かせない。
しかも週刊誌でありアンケートに左右されるため、早めにインパクトのあるキャラクターとのバトルをし、盛り上がる展開を用意しなければならないのである。
『白卓 HAKUTAKU』でも同様に第4話にてバトル回が始まることとなる。
第1-2話で日隈と來暇の関係性や今後の大きな目標をみせ、第3話で2人の人物像をより拡大させる。
そして第4-6話ではバトルと、スピーディーな展開であり非常に読みやすい。
構成としてはしっかり練られたものだなと感じた。
ここで登場するバトル枠が専門学生の北宮である。
しかしながら、彼女からは華を感じることができなかった。
周囲の専門学生からは実力を認められており、大手企業に内定は決まっているらしいものの、あくまでそれらは文字の羅列でしかない。
大ゴマでの登場ではなく、フルネームもわからない、ライバルとしては存在感があまり感じられないままにバトルするという展開になってしまったのが非常に残念である。
作者としては北宮は長いストーリーのいち登場人物という認識で、大きく取り上げるつもりもなかったのかもしれないが、初めて出てくるライバルとして箔に欠ける。
専門学校や大手企業の立ち位置がどの程度のものなのか、北宮の実力がどの程度のものなのか、そういう分かりやすい指標が欲しかったのが正直な感想。
リアリティを求めた結果なのかもしれないが、その割には駅前で詐欺というしょうもないことをしており、悪役としても小物感が満載。
悪役だとしてもキャラクターの魅力が足りず、キャッチーさが欲しくなってしまう。
また今回來暇は北宮に勝負を挑むわけだが、採点方式などではなくあくまで盛り上がったと感じたほうが勝者という至極曖昧なものであった。
当然ではある。ゲームというものは面白さが基準であり、定量評価すべきではないのかもしれない。
また点数をつけるような行為は本作の主旨に反するのかもしれない。
それでも、「週刊少年ジャンプ」という実力主義の週刊誌に掲載される以上は、そういったわかりやすさにも手を出してもらいたかったなというのが素直な感想。
個人的にはあの平和的解決は好みではあるものの、 『食戟のソーマ』のようなわかりすい勝ち負けが表現されなかった点が掲載順位が伸びなかった要因のひとつにも思えてしまう。
ドラマティックな演出がなされずぬるっとした勝負結果になってしまったが、リアリティさにもかけておりどっちつかずのマンガ枠になってしまったように見受けられる。
結果論に過ぎないが、せっかくのゲームという題材であるのだから、たとえ専門学生が相手だとしても多少要素モリモリにし、ちょっと大きなコンペに乱入&審査員に激励され過去最高点みたいなド派手な演出であってもよかったのかと思う。
とはいえ確かにこのゲームジャム編で作った落ちものパズル”ぎゅーしゃ”、ゲーム自体はすごく面白そう。
魅力的なゲームであり、内容を見る限りはとても惹かれるものがあったが、求心性としてはやや欠けるものがあったのかな、というのは少し後付けの理由かもしれないが
見せ方次第ではもう少し跳ねてもよかったのかなというのが個人的な感想。
48時間という時間制限があるなかでの挑戦も指向を凝らしたものであり、瀬尾という新しい登場人物が輝けた場面でもあったのでそこは評価したいポイントでもある。
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