【あらすじ】
清陰高校バレー部ではいよいよ夏合宿がはじまった。チカとラグビー部の大隈が参加し士気が高まる一方で、ユニとチカの同じ中学からバレーを続けていた長門は”チカとはバレーがしたくない”という理由で退部する。
春高出場を出場のため、まずは合宿明けの秋季予選を目標にする。チカというブレーンを軸に練習メニューを組み立てるが、「今日の練習にお前はいらない」とユニ一人をコンビネーション攻撃の練習から外し、レシーブ練習だけをさせる。モヤモヤするユニであったが、コインランドリーでばったり出会ったチカと二人で話すこととなる。そこで県中2回戦のときのようなユニに頼りきりのチームから脱却するための練習メニューであることわかりユニは納得する。
そしていよいよ迎える秋季大会。試合前のユニは緊張していたものの、チカの
「周りを見るな。コートの中だけ見てろ。コートの中に全部ある。敵も、仲間も」
という言葉から普段通りの力を発揮でき、準決勝まで駒を進める。バレーをすることに反対していたヨリちゃんも、試合で活躍するユニをみて応援する気持ちが芽生える。
大会の帰り、いとこの絃子に連れられてゲームセンターにやってくるユニ。そこで少しケンカになり、頬を殴られてしまう。その直後、外でヨリちゃんが不良とケンカするところを目撃する。ユニは助けに入ろうとするが、暴力沙汰に巻き込まれたらバレーができなくなると判断したヨリちゃんは関わるなと叫ぶ。ユニは迷った挙句、ヨリちゃんを置いて逃げるのであった。
【レビュー】
まず前回のレビュー見ていない方はこちらから。
この第4話は、”成長したチカと成長しないユニ、助けない仲間”という感じでしたね。
1. ラグビー部大隈の加入
「みなさま、よろしくどうぞ奉り候」
という出だしから滑りイタい奴になってしまった人物、ラグビー部の大隈が加入します。合宿中にユニやチカに好きな人を聞くなどコミュニケーションをとる役割を担っている良い奴です。しかし2年の夏から部活を変えるわけですから相当な覚悟があると思います。彼がどのようにしてバレーをすることになったのか、また試合やバレー部でどのような役割をするのかといったエピソード掘り下げして欲しいところではありますが、してくれるんでしょうか。3話の内容を見る限りあまり期待できないですが。。。
2.中学と変わらないユニ、頼りない先輩
第4話はチカとユニが軽トラに乗るところから始まります。合宿を楽しみにするユニに対し、チカはいつも通りそっけない感じで返答します。ここで、二人と同じ中学でバレーを続けた長門がバレーを辞めるという話をユニにしていた時、ユニが「俺はチカとバレーがしたい」と話す回想が入ります。実はそれを聞いていたチカは、中学ぶりにこうした会話ができいることが嬉しそうでした。このように関係をやり直せそうな雰囲気が描かれていました。
合宿1日目がはじまるわけですが、バレーの才能があるチカが取り仕切る形で練習が始まります。それをみた小田は「どこでもトップになれそうな実力はあるが、受け入れられるチームは少ない」と評価します。才能合ってバリバリ仕切るタイプで、しかもコミュニケーションが苦手ときたもんですから、好みは分かれるでしょうね。それでも小田は「ウチはあいつを活かす」と、チカのブレーン主体でバレーを続ける強い意志を表します。
迎える合宿2日目。チカは先輩たちとコンビネーションの練習する一方、アタッカーであるはずのユニにはレシーブ練習をするよう指示します。それに対してユニは「私怨でスパイカー干すのか」と食い掛りますが、「そんなくだらない理由で選好みするか」とチカはそれを否定します。それでも納得がいかないユニはチカの腕を思いっきり掴みかかりますが、そこで小田が止めにかかります。隣のコートで一人練習するユニ。そこからは帰り道、食堂、寝床でも一人という描写が続きます。楽しそうなチカにストレスが溜まるユニ。
そんな中で迎えた合宿4日目の夜、二人はコインランドリーでばったり遭遇します。
「謝らんぞ。俺悪ないし」
とケンカ気味になったことをユニは謝りません。しかしそこで中学の一件に原因があると思ったユニは、高校生になった自分を見てほしいとアピールします。
そこでチカはユニの勘違いを訂正しつつ、「チームで一番高く早く強く打てるのはお前だよ、黒羽。だからエースはお前しかいないんだ」とユニを評価します。
ここでチカの人間的成長が表れています。 中学時代、ユニに頼りきりのチームをつくってしまったチカは、”バレーは全員で戦うもの”という反省を活かし、コミュニケーションが苦手ながら個々人の力を高めていたのです。「独裁」というイメージから、みんなの力をまとめる「智将」への階段を進み始めていたのです。
しかし問題はユニと先輩たちですね。
まずユニについて。前回危惧したように、中学時代の反省が全くないんですよね。
自分が望む練習メニューじゃなかったから一方的に怒る・不貞腐れると、精神年齢が低さが目立ちます。県中2回戦とほとんど同じ状況で、ユニがコミュニケーションをとろうとしないんですよね。あれだけの失敗をしたのにもかかわらず、同じ失敗を繰り返すのかと心底ガッカリしました。チカがせっかく成長し歩み寄りつつあるのに、ユニの方は駄々をこね拒絶するという何ともアンバランスな関係性です。ユニにも原因があるのにチカを悪者のように仕立て上げていることも気に食わないですね。
そして先輩たちも大問題ですよ。特に小田なんかは「ウチはあいつを活かす」といっているわけです。それはチカの才能による恩恵を受けると共に、ストイックさとコミュニケーションの苦手さを受け入れるという意味かと思います。そのくせチカの練習方針に不満を抱いたユニのフォローを誰もしないんですよね。「俺らはユニをエースだと思っている」「全体の攻撃力を上げるためにチカがこのメニューを考えたんだ」「レシーブも大事な練習だぞ」。こうした言葉があれば、ユニもストレスに感じなかったことでしょう。圧倒的コミュニケーション不足すぎて、チームとしてのまとまりが全く感じられません。個人的にはチカの問題よりも、周りの環境に問題があるとしか思えないですね。
というわけで中学の反省からチームメイトとコミュニケーションをとろうとするチカ、精神的に成長していないユニ、先輩らしさを感じられない先輩たちが描かれていました。
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