【感想/レビュー】『一ノ瀬家の大罪』【第9話考察】タイザン5

一ノ瀬家の大罪

 またまた『一ノ瀬家の大罪』について見ていこうと思います。

 今回は第9話「翼の救済」を読んでの考察になります。

 前回の記事は↓からどうぞ!

第9話「翼の救済」

 パパ活をしていた詩織は夜の街へ消えてしまう。

 ケンカをしていた翼は妹を助けたいという自分の思いに従い、彼女を探しに夜の街へ。

 ”大人の世界”から何とか詩織を救出することに成功した翼。

 この事件をきっかけに詩織ときちんと話し合うことに成功する。

 しかし今度は父・翔の動向が怪しくなってきて……。

詩織のスマホ

 まず詩織のスマホの中身が明らかになったという点だ。

 ロックナンバー自体はわかりやすい「7777」というのは意外ではあったが。

 10件の通知と、75件のDMという大量の連絡が溜まっており、これまで登場していた秀太からもメッセージが届いていた。

 このことからも秀太とは「年上の彼氏」ではなく、「パパ活相手」であることが確定する。

 ただ何も知らない詩織は友達と期待して会いに行くも、そこで待っていたのはスーツ姿の”大人”

 衝撃を受け、身の危険を感じるもグイグイ迫る秀太は詩織の頭に手を置く。

 いわゆる”頭ポンポン”であるが、詩織はあきらかな拒否反応を示す。

 ただ拒否をしていたのは詩織の心だけであり、体は全く異なる動きをみせる。

「はいっ。

 詩織、秀太さんにかわいいって言ってほしいなーって思って

 この服選んだのー」

『一ノ瀬家の大罪』第9話 「翼の救済」 作:タイザン5

 “男が好きそう”をイメージしたフリフリのかわいい系統の服に、「女」であることを活かし最大限媚びを売るような口調。

 彼女が心では拒否していても、記憶を失う前の経験や習慣から男が求めるリアクションを反射的にしてしまっているのだった。

 体に染みついてしまっている動きと言ってもいい。

 つまり詩織はかなり長い期間パパ活を繰り返していたといえ、それが恒常的に繰り返されていたと捉えることができる。


 また秀太自身、詩織が中学生と聞いてかなり焦りをみせていた

 積極的に詩織の体を触っていたことを否定し、明らかにホテルへ連れ込もうとしていたこともなかったことにしようとしている。

 このことからも詩織が年齢を隠し、あるいは偽りながらパパ活をおこなっていたことが判明する。

 問題となる部分は、なぜそこまでしてパパ活に心身を注いでいたのかという部分である。

 記憶を失っている現在の詩織でも嫌悪感を抱いているということは、記憶を失う以前の詩織も同様な感情を持っていたことだろう。

 好んでパパ活をしている人物はいないわけで、お金を貰えるという仕事として捉えているはずだ。

 翼とはおそらく年子なわけで、そうすると詩織は中学1年生。かなり若い、いやむしろまだ子供の段階だ。

 家庭自体もそれほど貧しそうな雰囲気は感じない。

 ではなぜかという部分であるが、それもやはり一ノ瀬家の家庭崩壊との関連性があるようにしか思えない。

 この考察については、これから作中で明らかになるタイミングで随時考察を進めていこうと思う。


 そして詩織と翼の関係性についても触れておこう。

 病院から家に戻ってからというものの、詩織は翼を避け続けていた。

 詩織は翼が学校でいじめられていたことを知っており、そんな翼がお兄ちゃんぶっている様子が嫌いだった。

 そういう経緯もありケンカに発展した2人。

 ただそんな尊敬できない兄が涙で顔がぐちゃぐちゃするダサい姿で最大のピンチに助けに来てくれたのだ。

 決してカッコよくはない登場ではあった。

 しかし詩織にとっては紛れもない救世主であり、ダサくてカッコいいヒーローにしか見えなかったことだろう。

 ついに兄を認め、「ありがとう、お兄ちゃん」と感謝の意を伝える。

“翼くんがお兄ちゃんでよかった”

『一ノ瀬家の大罪』第9話「翼の救済」 作:タイザン5

 二人の仲が確実に深まった騒動であった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました