【感想/レビュー】『一ノ瀬家の大罪』「謎に包まれた世界観」【考察】タイザン5

マンガ

 今現在、『一ノ瀬家の大罪』という作品の肝となる部分はズバリ「世界観」である。

 どういう世界観で、なぜこの世界にいるのか。

 過去の回の発言や状況から深堀りしていければと思うが、今回はこれまでの発言からおおよその世界観について考えていければと思う。

「核」の変遷

 このタイザン5氏が描く作品の特徴は話が進むにつれて着眼点が大きく変化するという点だ。

 前作『タコピーの原罪』は顕著な例である。

 もともと貧困な家庭で家族を頼ることもできず、学校ではいじめられてしまっている少女・しずか。

 彼女のもとに訪れたタコピーという存在によってしずかがどのように救われていくのか、という始まりであった。

 ただ本質を解きほどいていくと、もともとはしずかをいじめていた少女・まりなが主人公であった。

 彼女もDVと劣等感を刻まれて育てられて生きてきており、別の世界線のしずかに人生を狂わされていた。

 と以上が概要ではあるが、ともかく「話の核」がうまい具合に移り変わっているのだ。

 『一ノ瀬家の大罪』でも「話の核」が捉えられず、そこがこの作品の面白い点である。

第1話でみた「家庭崩壊の原因」

 ここで『一ノ瀬家の大罪』という作品をここで一から振り返ろう。

 第1話での方向性・情報で考えると、最大の謎は家族が抱えていた闇とは何かという部分だった。

 家族全員が記憶喪失ながらも明るく楽しく生きようとする一ノ瀬家。

 円満な家庭だと信じ切っていたが、自宅に帰ると待ち受けていたのは絶望だった。

 主人公・翼の部屋には「死」という文字が壁一面に書かれており、精神的に病んでしまっていたことは明白である。

 そうした闇を踏まえると、記憶喪失の原因となった福井での自動車事故も一家心中を疑ってしまう。

 またタイトルが「一ノ瀬家」とあることから記憶喪失前の翼が壊れてしまった原因は家庭内にあると推測できる内容だった

 翼だけではなく、それぞれが打ち明けられない秘密がありそうというところでも謎に包まれている。

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