【感想/レビュー】『一ノ瀬家の大罪』【第11話考察】タイザン5

一ノ瀬家の大罪

 今回も『一ノ瀬家の大罪』の考察を進めていこうと思う。

 前回10話の記事は↓からどうぞ。

考察

 家族旅行へと向かう一ノ瀬家。

 しかし眠気が襲い意識を失う翼。気が付くと福井県の山中を走っていた。

 疑問を抱く翼であったが、答え合わせもままならないまま父・翔はガードレールへと突っ込む。

 目覚めた先は再び病院だったが、そこには翔とは異なる容姿の”翔”がいて……。

“翔”の目的

 まず免許証を提示していることから、「この世界」においては本物の翔であることは間違いない

 しかし、元々の翔と新しい”翔”は全くの別人だ。

 甘口のカレーでも辛いと話していた翔であったが、新しい”翔”は辛口でちょうどいいと述べる。

 これが決定打となり、容姿だけではなく中身も異なる人物であることが確定する

 ここで問題となるのは新しい”翔”は何者なのかという部分だ。

 特に新しい”翔”は一ノ瀬家が過去を思い出さないよう、調べださないよう徹底的に動いている。

 第10話での翔は、自分たちがこれまで積み重ねてきた過去を知ることが必要であると主張してきていた。

 しかし新しい”翔”はこれからの話を強調し、過去を放棄させようとしている

「でも大切なのは、今の俺達がどう生活していくかだよ」

『一ノ瀬家の大罪』第11話 作:タイザン5

 特に各々がひどい自室を見て絶望をしている一ノ瀬家にとっては希望となる言葉だ。

 求心力と統率力を持ったいい父親のように見え、家族の目も輝く。

 しかし家族を助けたいというより、過去を思い出させないようにしたいという意図をひしひしと感じる。

 新しい”翔”は恣意的に過去を知らせないように動いている。

 元々の翔が注目していたスマホの中身だが、新しい”翔”はスマホごと新しいものに変えてしまう。

 大きな秘密が眠っているはずで、詩織のスマホを調べればなぜパパ活に手を出してしまったのかを調べることもできるだろう。

 それを何としても防ぐための施策として間違いない。

 家族全員でカレーを作った時も「これから」を強調している。

 新しい”翔”が話す「今みんなで笑えていれば」という言葉は、元々の翔が最後に話した「笑っていたいってだけじゃダメなんだ」と対になる言葉。

 ここまで頑なに「これから」の話をし、過去を明らかにさせようとしない新しい”翔”の目的は何なんだろうか。

 「一ノ瀬家の過去を隠す」という明確な意思を持った行動であり、その裏には何か大きな目的があるはずだ。

 だからこそ翼が前回の世界、元々の翔を少し覚えているとわかると威圧している。

 その目的については、ハンバーガーショップで働く父の話を聞けばわかるのかもしれない。

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