勇希とサッカー
翼と勇希の相性は最高のようだった。
翼は先ほども述べたように10番というエースナンバーを背負い、MVPを取得、ケーブルテレビの取材も受けるほどサッカーがうまいことがわかる。
一方で勇希の背番号が27であることは、実力自体はそこまで高くないことを示している。
それでも実力者である翼は勇希を純粋に評価していた。
「俺の相棒だから」と高らかに宣言し、MVPの檀上に勇希を呼ぶ。
そして、中学生になったら二人でレギュラーを目指すことを約束する。
しかしながら、翼はサッカーを辞めることとなってしまう。
勇希の両親が南小のユニフォームを着ていることや、翼と勇希のユニフォームの色からも翼がサッカーを辞めた時期は小学校時代であることがわかる。
勇希はもともとサッカーは好きではなかったし、上手くもなかった。
それでも続けた理由というのは翼にパスを褒められ、サッカークラブに入り、
翼のおかげで「サッカーが居場所になった」からであり「翼が居場所」であったからだ。
「やっぱ翼に気に入られてただけだよね」
「わかる~」
「翼がいなけりゃあんなもんでしょ」
『一ノ瀬家の大罪』第4話
チームメイトからの評価も決して高くはなかった。
それでも勇希は翼との「中学生になったら一緒にレギュラーを目指す」という約束のためにサッカーを続けてきたのであった。
結果、もともと上手い部類ではなかった勇希は努力の末、中学校でレギュラーを掴みとる。
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