【感想/レビュー】『一ノ瀬家の大罪』【第8話考察】タイザン5

一ノ瀬家の大罪

翼の行動

 以上のように翼にも怖い一面がある。 

 ただ一方で、純粋に妹想いな様子もみられる。

 父親のアドバイス半ばで詩織へ謝ろうと自宅に帰り、いないとわかるや否や夜の街へと走り出す。

 ようやく詩織を発見するが、以前出会っていた秀太とホテル街を歩いく姿だった。

 余談であるが、ここでも走り回った翼が息をできなくなるというシーンが見られる。

 何度も描かれる「翼に体力がない」という描写には何か意味があるように思える。

 さて、話を戻すが褒めるべきポイントは翼が持つ意志の強さである。

 詩織をようやく見つけるもそこはホテル街。

 「大人」が出歩く街の中、制服姿の少年がいたら相当目立ってしまうものだ。

 加え性欲が高まっている男にとって邪魔が入るということはムカつく事態だ。

 「何か用?」と聞き返す秀太には迫力を感じる。

 当然のことながら翼は一度怖気づき、周りの目も気にしてしまう。

 ただ自分の妹である詩織が涙目を浮かべている姿を目にし、勇気を振り絞る。

 それでもやっぱり怖くて、泣きじゃくりながら自分の素性を話し、連れて行かないでと嘆願するのであった。

 ここでの翼は詩織が批判していたような”情けなくてダメダメな兄”であったことだろう。

 ヒーローとは程遠い、ダサく泥臭い助け方だった。

 前半で見せたぐちゃぐちゃで歪んだ感情はなく、「妹を助けたい」という一心からとった純然たる行動であった。


 この部分をみせられると翼が良いお兄ちゃんのように感じる。

 ただ前半・後半と妹に対する態度が変わるということから、翼は感情の2面性がある人物ではないかという考察が生まれる。

 ニコニコと明るい性格である翼は家族のみんなが記憶を失うという危機的状況であっても、挫けず前向きに物事を考えていた。 

 一方で中嶋にいじめには逆襲を果たし、許さないという発言をみせるなど穏やかではない瞬間もみえる。

 人間らしいといえばそれまでなのだが、寛容と怨恨が180度変わる瞬間が狂気じみていたりもする。

 もちろん翼にとっての中嶋と詩織はキーマンであるから潜在的に特別な感情や行動に繋がったのかもしれない。

 ただこの2面性があるという部分には引き続き注目していこうと思う。

まとめ

 詩織との関係値がようやくみえてきた第8話。

 父・翔との掛け合いがみられてという点でも、家族間での関係性が深まった回だった。

 ただ詩織の「現在」はわかったものの、ことの経緯はわからないままであった。

 気になる部分はやはり各々の過去であるが、そこがどのように明かされるのかを楽しみに待っていこうと思う。

 それでは次回の記事↓にて。

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