【感想/レビュー】『一ノ瀬家の大罪』「いじめとエンタメ」【考察】タイザン5

一ノ瀬家の大罪

 『一ノ瀬家の大罪』では登場人物が記憶喪失となっているが、記憶喪失以前の出来事が重要なカギとなっている。

 まず明らかになった翼の実状であるが、学校では惨く悲惨ないじめにあっていた。

 そこで今回は「いじめとエンタメ」と題し、『一ノ瀬の大罪』におけるいじめを見ていこうと思う。

翼の過去

 翼の学校生活が始まるのは第2話からのこと。

 記憶が戻る気配がないが、家族は学校や職場に出かけてしまったため仕方なく学校に向かう。

 自室に書かれていた大量の「死」という文字の心配が隠せなかったが、クラスメイトの中嶋勇希たちが話しかけてくれたことで心が安らぐ。 

 親友を名乗る中嶋のおかげで、投稿初日を安心して過ごすことができた。

 ただ実際には「親友」を偽ることで翼を絶望に突き落としたかっただけに過ぎない。

 残飯をぶっかけ、裸での土下座を強要するなど、かなり悲惨ないじめが行われていたことがわかる。

 またいじめの動画に映る翼の表情や瞳は絶望に打ちひしがれている

 そしてかけられた残飯を食そうとするなど抵抗する様子はない。

 自分の人生を諦め、この現状を受け入れてぐらいほどの自暴自棄になっていたに違いない。 


いじめの主犯

 さてここまでいじめの現場をみてきたわけであるが、主犯格は中嶋勇希である。

 このことについては第2話や第3話の考察記事でも書いてある。

 つまり手を下しているのは中嶋勇希がメインであり、他の取り巻きは傍観者であろうとしている。

 暴言や悪口を叩き嘲笑う姿は多くみられるが、直接的な暴力は中嶋勇希に一任している。

 教科書の落書きも「傘連判状」という方式にしており、筆跡で首謀者がわからないように工作してある。

 このように中嶋勇希以外は「いじめの参加者」でありながら「いじめの加害者」という立場にならないように自己防衛に努めている。

 頭がいいと言えば聞こえはいいが、自分たちの逃げ道を作っているという姑息な手法である。

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