翼が壊れた理由
ここからは私の想像と妄想である。
翼にサッカーをさせていたが、母・美奈子は教育に力を入れることを決意する。
医学部を目指すためには良い中学校に入学させるべきと考えたため、早いうちから勉強をさせる必要性が生まれた。
その勉強時間を確保するためにも翼にサッカーを辞めさせる。
中嶋パパが話していた“家庭の事情”というのは中間一貫校に入学させるための中学受験であった。
大好きなサッカーを辞め、おそらく塾への参加なども強制され、遊ぶ時間も減っていったはずだ。
この勉強漬けの生活は翼の心を蝕んでいった。
周りの友人たちが楽しそうに遊び、自分がしたかったサッカーを続ける中で望まない勉強を強要される。
そんな生活に明け暮れたことで翼の性格も変わっていった。
こうした経緯があり、七三たちに「一ノ瀬、最近なんか暗くね」「わかる~。あいついると空気悪くなるわ」「もう放っとこ」と言われるようになる。
しかしながら中学受験はあえなく失敗に終わる。
これは中嶋らと同じ中学校に通っていることからも明白だ。
母・美奈子は受験に失敗したことを激しく叱責したに違いない。
これだけ勉強したのに、どうして成果に結びつかないのと。
次に美奈子は高校受験に向けて動き出したはずだ。
だからこそ翼は中学に入学してもサッカー部などを含めた部活に入っていないのだろう。
中学受験の失敗を挽回すべく、高校受験に向けより巨大なプレッシャーをかけられたに違いない。
この重圧と抑制により翼の性格が歪んでしまった。受験ノイローゼである。
もともとの翼は明るく元気で、ポジティブな人間であった。
中嶋をサッカーに誘うという意味でも人望が厚く、中心的な人物。
記憶喪失となった現在、架空の思い出トークを提案し、”記憶が戻らなくてもいい”という前向きさをみせている。
このことは翼の明るさ・ポジティブさは潜在的なものであるということを示している。
なおかつ強靭なメンタルや精神的なキャパシティ持っていたといえる。
サッカーを辞めてから、同級生から”暗くね”と評され、中学2年時にはいじめに抵抗することができないくらいに憔悴していたという事実ある。
巨大で強大なメンタル・キャパを持つはずの翼の人格が歪んでしまうほど、受験戦争が厳しいモノであり、家庭での環境が厳しいモノであったといえる。
このことは第9話「翼の救済」でも少し触れている内容だ。
自室には心のノートやカウンセリングに関するポスターが散乱し、「死」という文字で埋め尽くされた異常な部屋を形成してしまう。
これらは受験ノイローゼが原因であり、勉強と家族が翼の心を壊してしまったのだ。
というのが私の想像であり妄想だ。
ただ「翼がサッカーを辞める正当な理由」「翼の潜在的な明るさや心を長期的に壊してしまう事象」「中学でも部活をしていない」「家庭の事情」「小学生で辞めなくてはいけない理由」を考慮すると全然あり得る話だと思っている。
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