無量空処にはどのように対応したのか
ここで五条は疑問に思う。
領域内では展延のみにとどめており、術式を一切使わないのはなぜだろうと。
確かに領域展延は有効であるが、決定打にはならない。
領域内で展延が使えるということは自身の術式だけではなく、十種影法術も使えるであろう。
特に十種影法術には魔虚羅という最強カードが含まれている。
それをあえて宿儺は出していなかった。
その意味としては、まず五条が魔虚羅の存在を知っているということを宿儺は伏黒恵の記憶から引っ張り出したと考えられる。
魔虚羅の存在が知られているのであれば、弱点である”初見の技には弱い”という弱点まで五条は知っているというところまで宿儺は読んでいたはず。
一撃でやられる危険性があったからこそ、これまで下手なタイミングでは魔虚羅を召喚していなかったと考えられる。
となると次にやることは”いかに五条の術式に適応させるか”である。
つまりこれまでの戦闘は魔虚羅に五条の術式を適応させる下準備であったといえるだろう。
特に今回は万戦と異なり、魔虚羅は領域の内側から破壊を試みている。
内側から破壊しているということは通常はわからない領域の縁を知っていることでもあり、外側からの耐性を上げているため内側からの耐性が低いと知っていたということでもある。
つまり、”無量空処”は完全に適応されていたといえる。
さて、ではいつ・どのようにして五条の術式に魔虚羅を適応させたのだろうか?
ここで万との戦闘をもう一度振り返ろう。
中盤より法陣を頭上に出して戦闘をしていたが、万の攻撃を宿儺が受けても法陣は回転していなかった。
ただ領域展開を受けたときには法陣が回転している。
このことより、魔虚羅の適応条件は魔虚羅あるいは法陣がダメージを受けたかどうかであると考える。
通常の攻撃は魔虚羅の一部である法陣へのダメージはない。
しかし、領域は空間ごと巻き込むため宿儺だけではなく頭上の法陣も攻撃対象となったのだろう。
そのように考えれば万戦については説明がつく。
そのため、領域は対象の人物だけではなく空間ごと閉じ込めるため、当たり判定が大きいといえる。
つまり、宿儺の影に法陣を仕込んでおいても当たり判定となり、適応の対象となった可能性があるといえる。
そうであればこれまでの領域展開を経て、魔虚羅が適応を済ませたことにも納得ができる。
また影に仕込んでおけば、六眼から目をつけられることもないだろう。
術式の格については五条のほうが上だからこそ、領域対策として魔虚羅は最適であったといえる。
そしてそのような理由から”最後の領域展開”と明記されているのだと考える。
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