私が好きなマンガを挙げるとき、トップ5にランクインするのが『ワールドトリガー』という作品である。
この面白さがどこにあるのか見てもらいたいということで、他のジャンプ作品と比較したうえでの考察・解説を何本かに分けてしていこうと思う。
第1回となる今回は「バトルにおける不自由さとオリジナリティの欠如」と題してみていく。
バトル漫画における自由さ
バトル漫画とは虚構と空想を楽しむ作品である。
異なる世界での生活を疑似体験でき、リアルからの逃避を可能にする。
魔法や特殊能力を用いて敵を倒していくなど、普段では絶対にできないことを味わうことができる。
現実世界から解かれた「自由」を楽しむものなのである。
それは各作品の世界観に現れている。
『ワンピース』であれば悪魔の実、『僕のヒーローアカデミア』では個性、『ジョジョの奇妙な冒険』ではスタンドという名称で特殊な能力を使用できる。
これらの特殊能力は多種多様である。力が増す・火を扱う・空を飛べるだけではなく、際限がないくらいに色々な能力で溢れている。
こうした「なんでもあり」な能力があるというのがバトル漫画の面白いところで、オリジナリティに富んだこれらの能力は自由の象徴である。
より自由度が増す作品は「エネルギー」という概念が関わる作品である。
その代表作は『NARUTO』や『HUNTERxHUNTER』である。
先に挙げた『ワンピース』や『僕のヒーローアカデミア』、『ジョジョの奇妙な冒険』では基本的に個々人が持つ能力は1つである。
中には複数持つケースもあるが、一つの能力を応用する面白さが描かれている。
対して『NARUTO』の世界では「チャクラ」というエネルギーの概念が登場する。
このチャクラや印を用いることで「術」を発動できるが、その術も千差万別。
影分身だろうが変わり身の術だろうが可能であり、技の自由度もかなりある。
チャクラを応用することで、いわば何でもできてしまうのだ。
『HUNTERxHUNTER』も同じように自由度が高い世界である。
「念」というエネルギーの概念があり「強化系」「変化系」「放出系」「具現化系」「操作系」「特質系」の6つに分類でき、相性や組み合わせにより自分で好きな能力を創造することができるのだ。
自分固有を技を生み出すという点ではかなりクリエイティブで自由度が高いといえる。
同じエネルギーという概念がある作品でも、「自分で何かを生み出す」のではあく「ツールを用いる」ことで自身の強化や技につなげる作品もある。
『BLEACH』や『家庭教師ヒットマンリボーン』がその代表だ。
『BLEACH』では「斬魄刀」という刀を用いることで様々な能力を発現する。
『家庭教師ヒットマンリボーン』では物語中盤から「死ぬ気の炎」というエネルギーの概念が中心となり、匣を使用することで武器や力を得る。
このようにバトル漫画の特徴は「自由」と「オリジナリティ」である。
多彩な技と奇抜なアイデアでバトルの自由度を演出し、個々人がオリジナリティあふれる武器や能力、必殺技を持っているというのが魅力である。
ここまでを踏まえたうえで『ワールドトリガー』という作品をみていこう。
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