【呪術廻戦考察】『器である虎杖悠仁の正体と存在価値』【最新話ネタバレあり】

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虎杖悠仁の存在価値

 ここで一度、羂索という人物について振り返る必要がある。

 羂索は知的好奇心を動力にし、執念深く、そして用心深い。何より熱量に対しての用意周到さは計り知れない

 死のリスクを背負い、六眼持ちに対し3度目の襲撃を仕掛けながら存命。

 肉体を乗り換える術式で1000年以上も生きながらえて、現代の死滅回遊のため1000人もの術師と契約。

 相当な熱がなければここまですることができないだろう。

 呪術高専襲撃・渋谷事変でもかなり綿密な計画が立てられていたし、どちらもしっかりと目的を遂行していた。

 ただ天元と非術師の同化による呪霊化という目的のためにここまで大風呂敷をかかげておきながら、羂索が愛のためだけに虎杖悠仁を産んだとは考えにくいのだ

 虎杖香織を狙った理由について、詳細は明らかになってはいない。

 その目的のひとつには反重力機構という術式が刻まれていたという理由も大きいと考えられる。

 脳のメモリ上、持てる術式が限られる中で3つ目の術式として採用しているのだから強力な術式であることは間違いない。

 そこで術式入手の”ついで”の保険として産まれたのが虎杖悠仁ではないかという可能性が挙げられる。

 これについては羂索と死滅回游という要素でも触れているのでこちらも参考にしてもらいたい。

 もともと羂索は虎杖香織の術式目当てで近づいたが、香織が女性であることや父・仁が子供を欲しがっていたため、宿儺の器として子供を作ろうと決意したのではなかろうか。

 死滅回遊のためにこれだけの用意をしてきているのだから”宿儺の器候補”が虎杖だけなはずはなく、宿儺の器としての子作りはサブミッション的な立ち位置であったと予想する。


 こうした背景を踏まえたうえで、虎杖の思いや心象を振り返ってみよう。

 虎杖悠仁の価値観において核となる部分は祖父・虎杖倭助の遺言だ。

 「人を助けろ」という言葉を胸に、宿儺の器としての責務を果たすことを決意する。

「宿儺が全部消えれば呪いに殺される人も少しは減るかな」

『呪術廻戦』1巻 第2話「秘匿死刑」

 しかしながら入学早々、夜蛾学長に責任の所在を問われた虎杖は呪術高専に入学する意味を自問自答する。

「『宿儺を喰う』、それは俺にしかできないんだって。」

『呪術廻戦』1巻 第3話「自分のために」

 自分にしかできないその天賦の才で、多くの人を救って死ぬ。

 それが自分に与えられた使命、天啓であると考えていた。

 しかし、虎杖が羂索が仕組んだ結果生まれたとなると話は変わってくる。

 天賦の才として捉えていた「宿儺の器」が天然物ではく養殖、すなわち「虎杖悠仁」という存在自体が造られたものということになる。 

 虎杖がこれまで守ろうとしてきた人やモノ、周りが虎杖を守っていたことさえ羂索の掌で転がされているにすぎないということになる。

 虎杖が養殖という説が濃厚であるが、彼が播磨国との関係も持つということを考えるとどこまで羂索が考えて産み出したのかというのは興味深い点である。

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