作品も佳境を迎えている『呪術廻戦』。
今もなお謎がいくつか残っているが、その中で興味深い部分は主人公・虎杖悠仁関連についてである。
今回の議題は宿儺が虎杖悠仁に対し、異常なまでに低い評価を下していることに関してである。
呪術師として著しい成長を遂げ、1級術師と遜色がないようにみえるが「つまらない」と言われ続けてしまう。
虎杖悠仁が「つまらない」と評価を受ける理由について掘り下げて考察していこうと思う。
呪術師としての実力・才能が不足しているのか
初めに検証したい部分は、宿儺の評価軸が「呪術師としての実力や才能の有無」で判断しているのかである。
つまり虎杖が呪術師としての能力値で劣っている、あるいは潜在能力で劣っているという可能性を考える。
虎杖とのわかりやすい比較対象として今回取り上げる人物は伏黒恵である。
宿儺はあからさまに伏黒恵のことを評価していた。
『受胎戴天』編ではわずかな戦闘だけで伏黒の才能を見抜いていた。
その後、作中で伏黒の術式・十種影法術が五条悟と同格の六眼持ち・無下限呪術と引き分けたという史実が判明する。
そのため十種影法術は単純に見積もって現代最強の呪術師・五条悟と並ぶポテンシャルをもつ術式ということでもある。
「あの伏黒恵に感じたのは術式の潜在能力と俺への耐性だ」
『呪術廻戦』24巻 第213話「受胎戴天-伍-」
それだけの才能があることを、特に前情報がなく、さらには術式を完全に披露していない間に見抜いたということで宿儺の持つ審美眼は精度としても優秀であることが裏付けられることとなる。
その後も”起首雷同”での未完成な領域を褒めたたえ、”渋谷事変”では魔虚羅から保護するなど、自分の器とするためではあるがかなり高い評価を下していた。
この伏黒と比べた時に虎杖が数段劣るのかと問われれば、そんなことはないだろう。
呪術師としてのポテンシャルで考えれば虎杖も勝るとも劣らない才能であるといえる。
”起首雷同”では伏黒が宿儺の指を取り込んだ特級相当の呪霊を祓ったのに対して、虎杖は釘崎と特級呪霊の受胎九相図2番・3番を倒している。
また”渋谷事変”では言語を操る(≒呪霊として核が高い)蝗GUYを祓い、脹相相手にほとんど互角の戦いを繰り広げている。
さらには冥冥からは1級相当の術師と評されている。
そして真人との最終決戦では黒閃を連発するなど、呪力操作については七海を越える一級品だろう。
このように実績として、その強靭さを示し続けているのである。
現に”渋谷事変”開始時には1級術師への推薦を伏黒や釘崎、パンダと連名で受けていることからほとんど同格といえるだろう。
最新話にて術師としてたった2か月で領域展延を習得する異常な成長速度を誇る日車に魅せられている宿儺であるが、伏黒が虎杖と出会った時点で6月であるため虎杖も1級術師推薦までは5か月弱ほどしか経過していないのだ。
「ほとんどの術師が2級か準1級で頭打ちになる」という事実があるなかで、ここまでの成長スピードをみせているのは驚くべきことである。
つまり呪術師としての実力・潜在能力のどちらにおいても虎杖は優れており、宿儺はその観点で「つまらない」と判断しているわけではないと考えられる。
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