領域展開のリスク
「領域展開」というのは、強力であるがそれゆえに弱点もある。
そうしたリスクをみたうえで、領域展開が本当に強いのかどうかについて考えてみようと思う。
① 領域を押し返されるリスク
まず初めに挙げられる弱点は領域を押し返されるリスクだ。
「領域に対する最も有効な手段。こっちも領域を展開する。
同時に領域が展開された時、より洗練された術がその場を制するんだ」
『呪術廻戦』1巻 第15話「領域」
五条が語るように領域に対する一番の対抗策が自分も同じように領域展開を行うことだ。
しかし、先ほどに述べたように領域展開はほとんどの術師は使用できない最高難易度の技術である。
だからこそ”呪術戦の極致”とも言われいるし、対策が難しいため領域展開を使用した時点で決着がつくケースも多いといわれている。
ただ”万が一”、相手も領域を展開できる術師であれば、技術力が皆無となる真正面からのガチンコ勝負へと様変わりする。
わかりやすい例が五条vs漏湖戦。領域展開を行ったため実力差が顕著に表れてしまった。
問題となるのはこの領域展開が必中必殺というところで、自分が押し合いに勝てればほぼ勝ちだが、負けてしまえば”必中必殺”ゆえに逃げ道がほとんど残されていない。
0か100かというかなりリスクがある行為でもある。
その経緯があり、漏湖は宿儺と闘ったときには領域を展開することができなかった。
つまり領域展開には、実力者同士の戦いとなった際にハイリスク・ハイリターンとなるという弱点がある。
② 対策のリスク
”必中必殺”という防ぐ手段が全くないがゆえ、先人たちはこれまでに領域展開への打開策を講じてきた。
領域展開という技自体に対抗策が講じられているというリスクがある。
そのうちの一つがシン・陰流”簡易領域”である。
多くの人が領域を扱うだけの技量がない中で、万人に有効な領域対策といえる。
起源は平安時代。蘆屋貞綱によって考案された領域から身を守る、弱者のための領域とされている。
術式を付与しないこと・生得領域の拡張を自身に限定するという縛りにより使用の敷居を下げ、万人が使えるように調整されたものであると考えられる。
10巻・与幸吉vs真人では、真人の領域展開の必中効果を簡易領域にて無効化する。
また19巻・伏黒vsレジィ・スターでは、簡易領域の原型「彌虚葛籠」を使用することで領域対策を行う。この戦いでは、伏黒の領域が未完成のため意味をなさなかったが本来であれば有効な手段である。
また12巻・冥冥&憂憂vs疱瘡婆では憂憂が簡易領域を使用することで術式を防ぎ、冥冥が反撃・勝利を収めた。
また禪院直毘人は陀艮戦で秘伝「落花の情」という対領域の術が御三家にあることが明示されている。
このように「簡易領域」「彌虚葛籠」は領域対策の実用性のある対抗策だ。
領域展開は確かに強いが、”必中必殺”という名前の通り攻撃に特化した技である。
それゆえ、相手の攻撃が自分にあたるというリスクも考えられる。
そもそも”必中必殺”であるのだから防御ということを考えずとも問題ない。相手が動く前に決着がつくケースがほとんどだろう。
ただ今回例に挙げた「簡易領域」「彌虚葛籠」によって必中効果が無効化された場合には、その判例が通じない。
相手からの攻撃を受けることも十二分に考えられる。
もちろん領域内であるからバフの恩恵はあり、有利な状況には変わりないだろう。
ただ与幸吉や冥冥&憂憂が見せたように反撃の起点となり、領域の必中対策がなされていればカウンターを喰らう可能性も存分にありえるということだ。


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