② 強力な多対一
領域展開が最も有効な場面として考えられるのが複数人との戦闘を強いられている場面である。
例え領域を使いこなせるレベルの術師・呪霊であっても戦闘能力が1級・準1級が複数集まってしまうとかなり手こずってしまうというのが実情である。
先ほど触れた陀艮戦でもそうだ。陀艮は特級呪霊であるが、1級術師の禪院直毘人・七海建人、準1級推薦中の禪院真希という3人相手にかなり苦戦を強いられていた。
渋谷事変での五条vs呪霊でも同様である。
特級呪霊の漏瑚・真人、脹相、改造人間で溢れる中で有効打を考えた末、0.2秒という時間での領域展開を行う。
例え個人としての能力が高くとも、数の暴力を持ち込まれてしまうと勝負の行方は分からなくなるものだ。
この兵力差による影響については羂索も述べているように、基本的には数が多い方が勝ててしまう。
「呪霊操術の強みは手数の多さだ
準1級以上の呪霊を複数使役し、術式を解明・攻略されようと
また新しい呪霊を放てばいい」
『呪術廻戦』15巻より
数で押し切られてしまえば当然、本来の強みが活かすことができない。
強者相手には複数で攻めるのが定石であり、また複数で攻められた時にどう対処するのかが重要であるといえる。
その数による有利への対処法として有効な手段こそが”領域展開”である。
対複数人へ”領域展開”を行うメリットはいくつかある。
一つ目はスイッチングを防ぐことができる、という点だ。
福数人で戦うことにより、スイッチング≒戦闘中における交代を行うことが可能になる。
これにより戦闘に変化をつける、休息になるという利点がある。
また一対一では埋められ対処されてしまうような隙ですら、スイッチングで待機している人物がいれば大きなチャンスになる。
陀艮vs禪院甚爾では上空に逃げようとした陀艮を禪院直毘人が突き落とすというプレーを見せている。
甚爾ひとりであれば上空に逃げることで体制を整えることができたであろうが、直毘人がいたことで滞空中という最大の隙を突かれてしまった。
このように複数人いるということで数的有利と連携攻撃が可能になる。
しかし領域展開を行うことで、このスイッチングを防ぐことができるのだ。
”領域展開”は全体への攻撃が可能だ。
陀艮のように攻撃の割合を設定する必要はあるだろうが、基本的には領域内に閉じ込めた相手に満遍なく攻撃を食らわせる。
つまり多対一という不利な状況から、領域内で実質的に分断をすることで一対一という構図を複数作ることができる。
先の陀艮戦であれば直毘人、七海、真希とそれぞれ一対一を行っているというイメージである。
二つ目に、攻めの一手になるということだ。
先ほどのスイッチングにも関係するが、複数人を相手にしたときにはスイッチングなどで手数によるゴリ押しが可能になる。
そうなってしまうと守り主体の戦闘に転じてしまうことが問題だ。
展開を相手に委ねてしまい、敵戦力を削ぐこともできず、ひたすら防戦一方の局面になる。
しかし”領域展開”には必中効果がある。
つまり領域を使えさえすれば先にも述べたように全体攻撃のオートカウンターへと進化するのだ。
守りから攻めへ転じる一手として、”領域展開”は有効な手立てであるといえる。
このように全体を巻き込める、攻めに転じることができるという2点より、”領域展開”は対複数人に有効な技であるといえる。
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