① 伏線破壊
初めに、これはあまりにひどい伏線破壊だという点です。
『「ただの女子高生がどうやって南極に行くのか」という部分が大切』ということはこれまでの記事で散々述べてきていました。
「南極に行く」というテーマにおいては間違いなく欠かせない問題です。また南極へ行く手段がなかなか想像できないだけに「女子高生がどうやって?」という疑問と期待を膨らませる良いテーマであると思います。
さらに期待感を抱かせるように、第1話ラストでは意味深長な笑みを浮かべます。
第2話では「無理無理」という絶望を感じさせつつも「絶体に行ける」というとっておきの秘策をチラつかせ、作戦に至りました。
ここまで最大限にボルテージを上げておいた結果、待っていた作戦が「歌舞伎町で開催された南極隊員の飲み会で男性の南極隊員を捕まえ、誑かし、南極まで密航の依頼をする」という落差にかなり失望しました。
これが仮にギャグマンガであれば、問題はなかったのかもしれません。ズコッーという効果音と共にオチが成立することでしょう。
しかし、この作品はこれまで語ったように「ゆるふわ日常」の話ではなく、「夢をひたすらに追いかける少女たちの物語」として描かれていました。
だからこそ、南極へ行くまでの過程を大切にしてほしかったし、素直に彼女たちを応援したいと思いました。
しかしこうして積み重ねてきた期待をすべて無に帰すような、あまりに短絡で楽観的すぎる作戦でした。
「絶対に行ける」という言葉とは裏腹に、女性隊員に遭遇し中止になるリスクや、男性隊員を交渉したとしても断られるリスク。
万が一にも成功したとして、密航中の生活や非公式に学校を休まざるを得ないことを考慮すると無謀にもほどがある作戦なのです。
かなり強引すぎる脚本が故に、もったいないなと思う展開でしたね。
② シラセの行動
第2にシラセという人物のミスマッチさです。
彼女は南極に行きたいと中学時代から語っていました。かなりの熱量を持っており、100万円を貯めるだけの計画を立てるほどの少女がここまで無謀な挑戦をするのは不自然ですね。
演出のためにキャラとして利用されている、展開のために人物像を歪まされたといえるでしょう。
もう少し自然な流れにはできたのではないかと思います。
この第2話にしてシラセと作品の評価がかなり下がってしまったことが残念です。
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