【感想/レビュー】『宇宙よりも遠い場所』【よりもい第6話考察】

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感想・レビュー

 ヒナタとシラセの絆が深まった回ではありましたが、ヒナタという人物像がぼやけた話でもありました。

 まずはこれまで描かれてきた人物像についてです。

 まずキマリは授業中に南極のことを調べて先生に叱られる、母親の許可を得ずに南極行きを決定し怒られるなどトラブルメーカーな性格です。

 シラセはというと南極への思いが強いがゆえしばし暴走することがあり、南極隊員を色仕掛けで落とそうとしたり、アイドルの事務所に突発的に電話を掛けたりと情熱的ではあるものの突発的かつ計画性のない人物です。

 そのことを考えるとヒナタは参謀的な役回りをしていました。ヒナタは高校を中退するも、高卒認定をとっており、現在志望校もA判定ということから努力家かつ勉強ができる人物であることが伺えます。

 また「男性隊員を色仕掛けで誑かして密航する」というシラセのめちゃくちゃな作戦に第3話で厳しいツッコミを入れ、第4話では訓練を仕切るなど実際の行動からも参謀であることが見て取れます。

 今回の第6話ではそのしっかりものキャラのキマリがパスポートを紛失してしまいます。(ただ無くしたことについてはシラセのせいですが)

 無くすまでは誰にだってあることでしょうが、問題となるのはその後の対応です。

 ヒナタは紛失に気が付いたものの対処をせずに一日過ごしたのです。

 これまでみたように、ヒナタほどの人物であれば「パスポートがないと出入国できない」という一般常識は知っていて当然だと思うのです。さらに出発日は明後日

 これまで描かれてきたヒナタの人物像であれば、この状況に相当焦りすぐさま対処するはずです。

 ただこの段階では「ヒナタがパスポートの重要性を知らなかった」という以外の可能性もあります。

 というのもヒナタは高校を中退したという過去があります。人間関係が苦手、つまり自分がパスポートを紛失したと3人に申告することによって観光が中止、みんなに迷惑がかかるというところから報告をしたくてもできなかったという可能性がありました。

 その日の終わり、不審な言動を気にしたユヅキによってパスポートの紛失がバレてしまいます。その際のやりとりを振り返りましょう。

ユヅキ「明後日ですよ飛行機」

ヒナタ「大丈夫大丈夫なんとかする。なんとかするから」

シラセ「なんとかって?」

ヒナタ「なんとかはまぁそう、いろいろあるじゃん」

シラセ「いろいろって?」

ヒナタ「いろいろはまぁ、ツッコミするど!」

 ここの流れから、ヒナタが申告しなかった理由が「友人たちを気遣った結果」ではなく、「パスポートを紛失しても何とかなると思っていた」からであることが判明します。

 勉強ができしっかりもののヒナタが、パスポートがないと入出国できないことを知らないこと・無くしてもなんとかなると思い込んで報告をしなかったのです。

 まず頭がキレる人物であるヒナタがパスポートの重要性をしらないということが変な話です。そして、計画を立てられるしっかりもののヒナタが、「なんとかなるでしょ」と焦りもせず楽観的に物事捉えていることも理解ができません。あからさまなキャラ崩壊のように思えてしまいます。

 到着日を変更することを嫌がったシラセに対しては、自分を除いた3人で向かうよう進言します。ヒナタはどうするのと尋ねるシラセに対し、間に合わなかったら日本に帰ると述べます。

 帰るという選択肢があったことに驚きなんですよね。あれだけ南極と騒いでいたのに結局はそんなパスポートの紛失ぐらいで帰ってしまうのかという、熱の無さにショックでした。

 また日本に帰るという選択をするようなことなのかという点も疑問です。チケットを変更することでなんとかなる問題なはずで日本に帰るというのは話を膨らませすぎかと思います。

 女子高生であるから世間を知らず話を勝手に大きくしてしまったと解釈もできそうですが、それであればパスポートを紛失した時点で騒ぎにして欲しいのですよね。

 ヒナタとシラセの仲、そして南極には4人で向かうという決意ができたという点では面白かったかなとは思うのですが、それ以上にヒナタという人物像がぶち壊された回でもあるかなと思います。

 今回はこのあたりで終えたいと思います。また次回の記事でお会いしましょう。

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