親の与える影響
親の職種や性格、経済状況など、家庭環境が子供に与える影響は甚大です。
例えば習い事ひとつをとっても、子どもがやりたいことをやらせてくれるのか or 親がやりたいものをやらせるのか という2択でもその後の人生に大きな影響を与えるでしょう。
「子供は親を選べない」なんて言葉がありますが、子どもは親を選べないどころか少なくとも小学生の間は自分自身の人生の決定権を親に握られた状態なのです。
『タコピーの原罪』がここまで人気となった理由としては、このように「親の環境によって自分の人生が大きく左右された」 という経験をもつ人物が、この世の中に多く存在しているからだと考えます。
そうした自分や自分の周りの人間と重なる部分がリアリティーに繋がっているのは間違いないと思います。
もちろん『タコピーの原罪』で描かれるのは誇張し脚色している世界ではあるというのは間違いありません。
主人公・しずかが受けたような壮絶ないじめを体験していたり、まりなのような父親と母親が離婚調停中という家庭は全体で見れば決して多くはないでしょう。
しかしここまでいかなくても、自分の人生において親の影響を受けた、両親の関係がよくなかった、勉強を強制されたなど、誰もが一度は近しい経験をしていることでしょう。
『タコピーの原罪』という作品はそうした「親の影響度」というものを拡大し、親を選べないが故に誰もがありえたイフの世界を描き出しているのです。
その拡大描写が非常に上手く、現実世界における家庭環境がここまで酷いものではないにしろ、「本当にあるかもしれない現実」と錯覚させるという不気味なまでのリアルさを感じられる作品となっています。
さて、ここまで「親の影響度」という部分がリアリティに繋がっているということを考察していきました。
では次の記事では、具体的にどの部分がリアルなのかについて考察していきたいと思います。
次回もぜひ、ご覧ください。
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