まりなの行動
2つ目に、まりなとまりな父の行動が重なるという点です。
まずはこちらのセリフをご覧ください。
「俺がぁ、苦労して稼いだ金。名に使おうが勝手だろうがっ」
『タコピーの原罪』第5話 作:タイザン5
「まりなのパパが頑張って稼いだお金から‼お前さえいなければ‼」
『タコピーの原罪』第4話 作:タイザン5
前者のセリフはまりな父に怒鳴られたまりな母が反論したところ、さらに怒鳴り返されるというシーン。 後者は、崩壊が進む家庭にストレスを感じたまりながしずかをいじめているというシーン。
両者で共通しているのが「立場を盾に相手を責める」という点です。
まずまりな母は下記のセリフから専業主婦として生活しています。ただまりな父との関係性はかなりひどいものとして描かれています。
「これだから働いたことのないクソ女は」
『タコピーの原罪』第6話 作:タイザン5
ただ少し調べてみると、まりな家のように専業主婦家庭がDVに発展するケースは決して珍しいものではないようです。
「仕事もしていない癖に家事だけして暮らしていける」「自分のお金で好き勝手遊ぶことができる」と主婦を見下すといった例がありました。
特に今回のまりな家のケースは「これまで働いていたけど子育て等のため仕事を辞めた能力がある人物」ではなく「今まで社会に出たことがない人物」です。
仮に社会経験があり、何かしらの資格やスキルがある状態であれば離婚し、自立して生活するという選択肢も取りやすいかと思います。
しかし、このように社会経験がない状態であれば今まで通り暮らしていくというのは難しいでしょう。つまりまりな父はまりな母に対して「自分がいないと生活できないだろう」と強い立場を示すことが可能になってしまうのです。
その考えが悪化した結果、上記のような発言につながるようなDVが発生したのだと考えられます。
では次にまりなの発言を振り返っていきたいと思います。
まりなは「自分の父親を同級生の母親に奪われている可哀想な自分」を演じています。
もともと経済的不自由というレッテルが貼られている以上、しずかはこのことに関して反論することはできません。
まりなはこのように「可哀想な自分」を演出することでいじめの大義名分を作り、自分の立場を誇示したうえでいじめを行っているわけです。
まりなとまりな父には、「立場を盾に相手を責める」という共通点がありました。
おそらくまりなは知らず知らずのうちに父親の背中を見て育ったのでしょう。
ただこのように親の影響を受けるしかない、という非情さをリアルに表現している作品だといえます。
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