【感想・レビュー】『2.43清陰高校男子バレー部』第6話 【ライバル福蜂高校の台頭】

アニメ

【あらすじ】

  

 ユニたちが住む福井県で、IH県予選・春高県予選にて7連覇を果たしている福蜂高校。キーマンとなるのは「悪魔のバズーカ」の異名も持つエース・三村スバルと、ケガでマネージャーになった越智ミツオミ。IHでは結果を残せなかった福蜂高校だが、春高のセンターコートを目指し練習に励む。

 そんな福蜂高校でも秋季大会準決勝進出をし、スバルに続きもう一人の天才と呼ばれるチカが所属する清陰高校が話題となっていた。2年のコーヘイは清陰高校の存在が気になり、練習をサボり偵察に行こうとするが越智に見つかってしまう。しかし越智も気になっていたことから二人で清陰高校に潜入する。

 二手に分かれバレー部を探すが、その間にコーヘイと大隈が揉めてしまう。大事になりかけたも、駆け付けたスバルにより、なんとか収まることができた。そのお詫びにとスバルは清陰と福蜂の練習試合を提案する。

 【レビュー】

 前回のレビューがまだの方はこちらから。

 それでは今回のレビューをどうぞ。

 越智のマネージャー転向と春高への気持ち

 この回では清陰高校にあたる福蜂高校にピックアップされた内容でした。スポーツ漫画やアニメではライバルの描き方は重要ですよね。

 そんな中、注目するのは福蜂高校マネージャーの越智です。

 彼は高校1年の夏にケガを患ったことから、監督にマネージャーを勧められます。彼は「スバルほどの才能があればマネージャーなんて誘われなかったのに」と嘆きます。しかし、スバルの助言もあり越智はマネージャーになることを決めたのでした。

 ここで気になる点は、越智のバレーに対する気持ちがあまり描かれなかったことです。

 まず越智がマネージャーになった理由として、「大きなケガをしたタイミングで監督から誘われた」という描かれ方をされていました。果たしてそれが本当の理由でしょうか?

 まず「大きなケガ」といってもリハビリで4か月ということから、決して治らないケガではないことがわかります。また全国常連校の福蜂高校バレー部に入部するぐらいですから、バレーに対する熱量があるはずです。本気で上部大会を目指していれば、一度監督からマネージャーの誘いをうけたぐらいで選手を諦めるとは思えません。この2つが決定打になったことは間違いないでしょうが、本当の原因とは考えにくいです。

 

 つまり越智にはそれ以外にも選手を辞める理由があったことが考えられます。

 実際、「なんも考えんと、リハビリ頑張ってバレー続ければいいやってわかってるけど、いろいろグズグズ考えてもうて、ドツボにハマってもうて」と述べていることからも他に悩みがあったと推測できます。

 それはやはり、福蜂高校という福井一の強豪校と、そのエース・スバルの存在だと思います。「スバルであったらマネージャーに選ばれなかった」と僻んでいたことからも、越智スバルとの才能や実力の差を感じていたことは明らかです。ケガやマネージャーの誘いの以前からバレーをこのまま続けていいのか、本当にレギュラーになれるのかという葛藤があったはずです。その葛藤を後押ししてしまったのが、ケガと監督の評価であると考えられます。

 しかしながら、その葛藤部分の描写が排除され、ケガ・監督の評価の部分のみがピックアップされてしまっています。本来、「越智がどうしたいか・どう思ったのか」という部分は欠かせない表現です。バレーをやりたいというポジティブな気持ち、全国を目指すという夢、なぜバレーをしたいのかという経緯。一方で苦しい現実や抗えない実力差が存在するわけです。理想と現実という相反するものをにどう立ち向かうかといった部分こそが見どころであり、視聴者はそうした部分に共感を覚えるのです。

 その越智自身の気持ち」が描かれないことで、「監督に言われたから選手の道を諦めた感じ」が否めず、かつ「どういう気持ち・経緯でバレーを続けてきたのか」という背景が見えてこないため、いまいち共感もできません。「監督に言われたから」という他人任せな悩みではなく、越智自身の気持ちや感情をもっと全面的に出してほしかったなと思います。少しもったいなさを感じるシーンだったと思います。ただもしかしたら尺不足なのではと思うようになってきました。12話だとこれが限界なのでしょうかね。

清陰と福蜂

 ここで疑問になるのが清陰と福蜂の関係性です。福蜂は7年連続IH県予選・春高県予選で優勝しているかなりの実力校です。バレーをやりたいがために福蜂を目指す人も多いでしょう。またチカを誘わなかったのかなどというやり取りから監督の力量も十二分にあることが伺えます。さらには「悪魔のバズーカ」という異名を持つ絶対的エース・スバルの存在も大きいはずです。それに対し、清陰高校は秋季大会準決勝進出という戦績しかありません。

 そんな福蜂が清陰を意識するのは不自然だと感じてしまいます。当然マークする必要はあるかと思います。強豪校こそ足元を救われないように細心の注意を払うべきかもしれません。ただ自分たちの練習をサボってまで偵察に行く必要があるのかと言われると、否、と答えるほかないと思います

 福蜂は先に述べたように実力・実績共に申し分ありません。一方の清陰は秋季大会で準決勝に進んだだけです。この二校を比べたときに、力量差があるのは明らかです。その福蜂が清陰を気にする必要があるのか。清陰以外の県大会上位常連校を気にした方がよっぽどタメになるはずです。

 また練習の偵察についても疑問です。偵察をする意義というのは、①戦力を推し量るため、②練習内容を知りたいの2つの理由が考えられます。しかし①に関しては清陰の試合を録画していたことから偵察してまで知る意義はありません。また②に関しては言わずもがな、全国に行くだけの力量と監督が揃っているわけですから必要はないでしょう。どうせならよりトップの学校を参考にすべきです。

 清陰と福蜂のつながりと練習試合の理由がどうしても欲しいためのこじつけっぽくて納得はできないですね。設定のガバガバさというか、適当さが感じられるシーンでした。

スバルと小田の関係性

 スバルは清陰高校の主将が小田であることを知っていました。また青木越智のことを呼び捨てにしていました。このことからそれぞれ関係があるのかな、と思いました。それぞれが同じ中学で活躍していたなら、小田青木が実は実力があるのに燻ぶってしまっているということも理にかないます。

 そのあたりの関係性や因縁については今後どうなるかに期待ですね。

【まとめ】

 ライバルであろう福蜂側を中心とした話の展開でしたが、越智の過去が雑に扱われたり、練習試合までの展開が無茶苦茶であったりと乱雑な脚本が気になりますね。

 ここから面白くなるのかという心配しかありませんが、この2校が春高で戦った時どのような試合展開になるのかは気になるポイントですね。まずは次回以降の練習試合の結果次第ですかね。

 それでは次回のレビューで。

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