【あらすじ】
ユニが暴力事件に関与したという疑いから清陰高校バレー部は秋季大会辞退、そして春高予選出場も危ぶまれていた。全国に行く可能性が1つ減ったことで怒るチカ。ユニは「春高に出たいなら、東京の学校に戻れば」とうっかり言ってしまう。
その話から突発的に東京に向かうチカとついていくユニ。行き先はチカが本来通うはずであった銘誠高校。そこで、かつてのチームメイトやチカが自殺未遂まで追い詰めてしまったソウタと再会することで、チカは中学時代に起きた事件の真相を聞くこととなる。またチカは小学校時代の恩師・ミナミ先生とも再会、そして春高開催会場の東京体育館にやってくる。そこで春高本選へ清陰高校のメンバーで向かうことを宣言するのであった。
【レビュー】
第3話、4話に引き続き、またしても問題しかない話でした。回を増すごとにやばさが目立っていきますね。
前回のレビューはこちらから。
1 みんなの想いは
4話のラストでヨリちゃんが不良に絡まれてしまいます。しかしチカのバレーを応援したいという気持ちから、殴られているのにもかかわらず”自分と関わるな”といいユニを逃がしました。しかし、それでもユニは暴力事件との関与を疑われてしまいます。関与を否定するユニでしたが、頬のアザが原因で学校側は納得しませんでした。またユニもそのケガの経緯について語ろうとしません。その結果、清陰高校バレー部は秋季大会辞退、春高予選の出場もできない可能性が生まれました。
ユニのクズ具合が見事に表れたシーンでした。いったい何がクズだったのかを整理するために、ひとつずつ振り返っていきたいと思います。
はじめにユニがバレーに真剣に挑む気があるのかどうか、という問題です。バレーを本気でやっていたのなら、秋季大会が準決勝まで駒を進めたのに出場辞退になることは避けたいでしょう。春高への挑戦権すら剥奪されるとなればなおさらです。自分の身を削ってでも状況打破を考えると思いますし、その本気度によっては他人に頭を下げてもらうこともあり得るかと思います。しかしユニはそれをしなかったんですよね。
なぜしなかったのか。それは真相を明かさないことのメリットがあるからです。秋季大会辞退や春高出場のチャンス、それ以外にもさまざまなものを失ってでも得たい何かがあったはずです。それを明らかにするため、ユニが天秤にかけていたものを見ていきたいと思います。
失ったもの① ユニのバレー人生
ユニは本気でバレーをしたいと思っていたはずなんです。これは第2話終盤での心情の変化から読み取れます。「何がしたかったのか」と自分自身に投げかけていたシーンの後、ユニは「チカとバレーがしたい」という正直な気持ちにたどり着くわけです。
そう、単に「バレーがしたい」ではなく「チカとバレーがしたい」だったのです。別にバレーというのは部活動でしかできないわけではありません。人を自分で集める、地域のバレーボールクラブに入るなど選択肢はあるわけです。それを「チカとバレーがしたい」とのことから、上を目指して、その中でも全国大会を夢に見て練習に取り組む空間が好きだったのではないかと思います。また小田も目標が全国大会出場であるとチカに堂々と告げていることからも、部活全体の目標が全国大会であったことは間違いなく、ユニもそれを知っていたと考えられます。つまりユニとしても全国を目指していたはずです。今回の件は、ユニの貴重な全国出場の機会を失うものになります。
失ったもの② ヨリちゃんの想い
2つめはヨリちゃんの想いです。第1話で、”どうせ中途半端になるぐらいならバレーをするな、”同級生を自殺未遂に追い込んだチカとはバレーしない方がいい”というような態度だったヨリちゃん。これらは自殺未遂に追い込まれてしまったら、バレーで傷ついてしまったらと、従兄弟としてユニの身を案じた故の行動だと考えられます
それが第4話でイキイキと活躍するユニの試合をみて、バレーをするユニを応援したいと思うようになります。結果、第4話終盤でヨリちゃんがケンカに巻き込まれた際も、暴力事件と関わってバレーができなくなっては困る・ユニにはバレーを続けてほしいという想いから”自分とは関わるな”と叫ぶのでした。
第1話では、バレーを始めたユニに冷たい態度をとっていたヨリちゃんでしたが、第4話で応援するようになるという心境の変化が表れた良い場面でした。しかし、ここで秋季大会辞退、春高予選出場停止になってしまえば”バレーを応援したい”と体を張ったヨリちゃんの想いを踏みにじることになります。またヨリちゃんを置いて逃げることによって、第1話で描かれた”中途半端な自分との別れ”を示唆しており、バレーに全てを捧げるという覚悟を示していたはずでした。そうした第1話と第4話の対比を台無しにしてしまうのです。つまり、ユニが真相を明かさないことで自分の覚悟を放棄し、ヨリちゃんの想いが意味をなさなくなってしまうのです。
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