[レビュー]『不滅のあなたへ』第1話感想・批評

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【あらすじ】

 ありとあらゆるものの姿を映し変化することができる”球”。あるとき”球”から石へ、石からオオカミに姿を変えた。オオカミとなった”球”は初めて人間と出会う。雪が降りしきるその村にいる人間は名も知らぬ少年一人であった。村人の多くはたくさんの人や美味しい食べ物があるとされる「楽園」を目指し南に旅立ち、村に残っていた老人もなくなっていたためである。少年はそんな状態で5年間、待ち続けるのであった。

 ある日、少年も「楽園」を目指すべく、南に向かう決心をする。先人が残したであろう矢印が書かれた石、木や川を発見することで「楽園」が近づくことを期待する少年。しかし先に待っていたのはバツが書かれた矢印と壊れた荷車、そして村人たちのものであろう墓の痕跡であった。この先に楽園がある、そう自分に言い聞かせる少年だったが、最後には涙を見せる。心が折れてしまった少年は帰る決意し、なんとか村にたどり着くが、道中でしてしまったケガが悪化してしまう。

 「僕のこと、ずっと覚えていて」。そう言い残し、少年は息を引き取る。少年が亡くなったことでオオカミは少年の形に変化した。少年へとなった”球”は刺激を求め歩き出す。少年の夢を引き継ぐように。

【レビュー】

私は予告など事前情報を仕入れずにこの第一話を鑑賞しましたが、かなり引き込まれる内容でした。

 まずこの世界はどんな世界かという点です。不思議な物体である”球”がどのようにして生まれたのか、なぜ姿を変えることができるのかなどワクワクするような展開です。また少年が住む世界も同じように疑問が続きます。あの永遠とも思えるほど続く雪原は何か。今私たちがいるような世界なのか。それともファンタジーチックな特別な世界なのか。「楽園」とはいったい何なのか。謎に満ちた世界観に自然と引き込まれました。

 またこの第一話は少年とナレーションという二人の声だけで構成されています。世界に抗おうとする少年の意思を象徴するような力強い声。一方で物語の案内役として淡々と話すナレーション。シンプルな内容と相まってより一層作品に集中できました。こうした少ない情報が逆にワクワク感と想像力を膨らませ、その点に関しては魅せ方がうまいなと感心しました。導入だからと言って要素を詰め込まず、むしろ声や世界観を最小限にとどめることが作品を深め、次につなげる役割をしていると思います。

 全体的に見ても期待できそうな内容だと感じました。ただ懸念点としては二つあります。一つ目は世界観を無駄に広げすぎていないかということです。謎めいた世界というのは読者・視聴者の期待を高める一方、終盤のオチ部分が肝心になります。期待だけが募り、微妙な伏線回収をしてしまうと面白くありません。世界観を広げ期待をさせつつも、その期待をうまく上回れるかが肝心です。

 そして二つ目は話の終わり方が見えにくいという点です。物語には「夢を叶えようとする話」と「夢を探す話」の2種類があります。

 多くの作品が前者に属するかと思います。ファンタジー系であれば強くなるとか両親と出会う、スポーツ系であれば○○で一番になる、恋愛系であれば○○と付き合うなどです。そうした「夢」に向かうというわかりやすい目標があることで、読者・視聴者とのすれ違いを予防できるのです。

 しかし「夢を探す話」、すなわち目標地点が明確でないと「そういう話を望んでいたんじゃないのに」と期待を裏切る可能性があります。俗にいう解釈違いというやつですね。それがうまい具合に読者・視聴者にハマればいいのですが失敗に終わることも考えられます。バトルものなのか、恋愛ものなのかなど、方向性がはっきりしないと見る側のストレスにつながりかねません。今回であれば世界観をしっかりと折りたたむことができるか、主人公がどうなりたいのかがポイントのような気がします。

 おおまかな心配点は以上の2つでしょうかね。

 懸念している部分はあるものの、一話の時点では期待大です。これからのストーリーが楽しみですね。

 これからもおいおいレビュー挙げていきたいと思います。
 読んでいただきありがとうございました。

 

 

コメント

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