【呪術廻戦考察】『夏油傑の価値観と必要だったもの』【懐玉・玉折】

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 さて前回の記事では夏油の変遷について書いていたが、では夏油が闇落ちしないために必要なことは何だったのだろうか。

夏油の思想

 高専時代の夏油は強者の在り方について考えていたからである。

 呪術界というシステム上、弱者を守らなくてはいけないのが術師の義務とされていた。

 一方で呪力を持つ菜々子や美々子のような者が迫害されているという事実がある。

 また呪力という力を持つ者だからこそその命を使わなくてはいけないが、その一方で恩恵を受ける非術師は平和を享受しのうのうと生きている。 

 自らの身を削り、仲間の死を乗り越えて手に入れる非術師の平和に意味があるのかということを考えていた。

 そのきっかけとなったのが「懐玉・玉折」での出来事である。

 この呪術界の在り方に考えることは確かに大切であり、特級という称号を得ている以上はいずれぶつかる課題だったことだろう。

 ただそんな夏油にとってより大切だったのは残った仲間と関係性を構築することではなかったのだろうか。


 禪院甚爾との戦闘を経て、反転術式を覚えたことや勝利の経験を掴んだことで五条悟は”最強”に成った。

 夏油は五条が”最強”に成ったことで自分とは違うステージに立ったと考えていた。

 確かに五条にとって、力を持つという観点からいえば最も居心地がいい世界であったことは間違いないだろう。

 自分の手では決して届くことのできないだろう、遠い世界に行ってしまったと。

 ただ大きく五条が変わったということはなかったと思う。

 一人での任務も増えたことはそうだが、夜蛾と通常通り話をしていたり、高専を辞めていないことを考えると人間性という視点では大きな変化はなかったと考えられる。

 どちらかというと”最強”に成ったという理由から、五条は自分とは違うステージの人間であると考えて遠ざけていたのは夏油のほうであった。

 つまり救いを求め頼るべきは夏油自身のほうであったと思う。

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