夏油に必要だったもの
夏油に必要だったものの一つとして家入硝子という存在が大きかったのではないかと考える。
家入硝子は反転術式をアウトプットできる数少ない人材ではあるが、戦闘能力としては決して高くはない。
役割で考えても最前線に出るような人物ではないし、夏油の口からも危険な任務に行くような人物ではなかった。
そんな彼女にこそ、夏油は心の内を明かすべきではなかったのではないかと思う。
夏油は大義や理想を、自分の人生に注ぎ込み過ぎたのだ。
より身近な、一般的な感覚に自分を落とし込むことができたのであれば、もう少し楽に生きることもできただろう。
夏油が考えるように『呪術廻戦』の世界は未完成である。
長い歴史があるのに反し、大っぴらにできない以上は菜々子・美々子のような被害者は数多くいるだろう。
また灰原のように命を賭してまで戦い亡くなる、若い芽が多くいるだろう。
そうした現実から目を逸らすべきではない。
その一方でもう少しだけ、楽に考えてもよかったのかなとも思う。
「子供じゃないんだ。誰でも彼でも理解してほしいとは思わないさ。」
「どーせ誰も理解してくれないって腐るのもそれなりに子供だと思うけど?」
『呪術廻戦』9巻 P153 作:芥見下々
夏油は自分の思想を分かってくれる人物は周りにいないと、己で決めつけてしまい呪術高専を旅だった。
結果的にではあるが仲間を見つけることにも成功したし、目的をもう少しで遂行できるところまでたどり着いていた。
ただそうであったとしても、誰かに理解されると信じて心の内を明かしてもよかったのではないかと思うのだ。
確かに五条悟は”最強”であるし、戦闘に関与しない家入硝子とも立場は異なる。
ただそういう立場という枠組みを超え、同期であり友達の2人であればもっと違う世界があったのだと思う。
特に、一般的な家入硝子の意見を聞くことができれば、より非術師に寄り添いながらも術師としての意見がもらえたのでないかと思うのだ。
まとめ
ここに記したことは結果論でしかない。
夏油が相談をしたからといっていい結果が待っているとは限らないし、より最悪な未来が待っていたかもしれない。
たらればにしか過ぎない妄想だ。
それでも夏油にはもう少し救いがあってもよかったよなと思わざるを得ないのだ。
今回はこれにて終了しようと思う。
ではまた次回の記事にて。
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