真希と游雲
次に注目したいポイントは真希に特級呪具”游雲”を預けているということだ。
公式ファンブックにて語られているように”游雲”はもともとは五条家所有の呪具である。
この特級呪具を真希に預けている意味についてもう少し考えてみよう。
特級呪具を預けるということについていくつかのリスクがあるということを考えなければならない。
まずはその希少価値である。
5億はくだらないということからも、存在自体に圧倒的な金銭価値が見出されている。
武具と使用する以前に、芸術品としての価値すら感じられるような価格。
それだけ特級呪具自体が希少であり、誰もが喉から手が出るほど欲しい代物であることが伺える。
2つ目に持つべき人物が持たないと敵に奪われる危険性があるということだ。
呪具、それも特級呪具となればそれだけ強力なものである。
しかしあくまで道具ということは当然敵に奪われるリスクもあるということだ。
京都校交流戦中の真希vs三輪では、高い戦闘スキルを誇る真希が太刀取りによって三輪の刀を奪うことに成功する。
このように格上の相手と対峙してしまった場合には、武具そのものを奪われるリスクが生じる。
自分の戦力が減少するだけではなく、敵の有利が増すことにも繋がる。
一番まずいのは、その後自分との戦闘後にも呪具が使用され、呪詛師側の有利材料となる可能性があるということだ。
そういういう意味において、奪われるリスクがある半端な実力者には呪具を預けるのはナンセンスだ。
ただこの”游雲”であるが、伏黒という隠して保管できる武器庫があるとはいえ渋谷事変という実践の場にまで持ち込んでいる。
つまり五条は「ある程度の強さの相手であれば武器は取られないし負けない」という真希の実力を評価しているといえる。
以上のことより、五条は真希については家柄やこれまでの経験というものではなく、普段の実力で判断していたといえるだろう。
五条の呪術師としての才能だけではなく、教師としての才能の一部であろう。
現代最強の呪術師として特級を頭何個も飛び越えた実力者であるにもかかわらず、そうした発展途上の人物に寄り添えるという事実は素晴らしいものであろう。
むしろ五条のような人物こそ、呪力を持たない者に対して強く当たりかねないと思うのに、純粋に力で評価できるということは素直に尊敬できる。
以上、五条悟と禪院真希の関係性についての考察である。
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