【第4回ワールドトリガーのここが面白い】「三雲修の成長②~戦闘編~」【考察】

ワールドトリガー

vs 風間

 三雲修という人物に焦点を当てたとき、風間との模擬戦が大きな転換期と言っていいだろう。

 このバトルについては第1回の記事でも取り上げている。

 空閑というスーパールーキーを出迎えたボーダーであるが、風間は経緯の核となったオサムに興味を抱き模擬戦を申し込む。

 ただ風間はA級3位の部隊を率いるかなりの実力者であり、攻撃手のランクでも2位に位置付けるボーダー屈指の人物だ。

 手加減をしない風間は開始早々、姿を隠すトリガー・カメレオンを使用し一瞬でオサムを落とす。

 その後も模擬戦を続けるがカメレオンの対抗策を全く練れないまま試合は終了する。

 そこで空閑のボーダー加入を認めるため、迅が師匠の形見である黒トリガーを手放したことを風間から聞いてしまう。

 その事実を聞いたオサムは闘志を燃やし再戦を申し込む。

 あまり感情をみせない風間ではあるがここではニヤリと笑みを浮かべ、再びオサムに興味を抱く。


 ただこれまで触れてきたようにオサムは決して強くはない、むしろかなり弱い部類である。

 風間からも「これといった取り柄のないB級下位といった印象」と評されている。

 またレプリカから指摘されているようにトリオンの性能・量でも優れたものとは言い難い。

 そのため出力などに直結するトリオンに恵まれていないという意味において、オサムは「才能がない」という部類に位置する

 つまり経験や技量、トリオン性能で劣っているオサムが勝つためには異なる土俵で戦わなくてはいけないのだ。

 その手法が「戦略」という分野である。

「通常弾の散弾で部屋を埋め尽くす」「スラスターでの突撃」「シールドでの行動制限」「ゼロ距離射撃」と発想に次ぐ発想で風間を追い込むなど、戦略の才能が感じられる試合内容であった。


 結果としては風間にガードされてはしまうが、引き分けに持ち込むという大金星を挙げる。

 菊地原からはフルガードしてからカウンターでいいでしょと指摘を受けていることから、風間も確実に勝てただろう

 また100回やって100回勝てるとも菊地原は話しており、No.2攻撃手である風間には勝つ方法はいくらでもあったことは間違いない。

 これまでのオサムの実力を考えるとその通りの展開になることは容易に想像できてしまう。

 ただ発想を生かし追い込んだということを評価して、あえて張り合ったのだと思う。

 最終戦後に風間は次のように講評している。

「自分の弱さをよく自覚していて、それゆえ発想と相手を読む頭がある。

 知恵と工夫を使う戦い方は、俺は嫌いじゃない」

『ワールドトリガー』5巻 第37話「三雲修⑥」

 例えばソロランク1位の太刀川や4位の村上は近接での戦いを得意とし、剣を扱う技量の差で勝つスタイルを得意とする。

 一方で風間は確かに近接の腕は一級品であるが、二人のような技量だけの勝負よりは戦略という部分に注目した戦いを好み、得意とする。

 今回でもカメレオンを使用し、意表を突くという戦法をとっている。

 また菊地原を迎え聴覚を生かした戦術をとるなど、技量という一部分ではなく総合力での戦いを好む。

 こうしたチームとしての戦略を考えると、風間はそういった知恵と工夫を生かしたスタイルを好む人物であるといえる。

 だからこそオサムがとった「戦術というトリオン性能や技術以外の部分で戦う」というスタイルを評価したように思える。

 またオサムの戦術を生かした戦い方ができるという強みが顕在化したという意味で、この風間との一戦はかなり重要な戦闘であるといえる。

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