【感想・レビュー】『2.43清陰高校男子バレー部』第7話【練習試合とその後】

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【あらすじ】

いよいよ清陰と福蜂の練習試合が始まる。中盤までは互角の戦いを繰り広げるが、スバルの猛攻を止めることができず、1セット目は福蜂がとる。その後、スバルが試合から抜けた福蜂と戦い、お互い3セットずつ取る形で練習試合が終わる。

 練習試合後、チカは春高で福蜂と戦うとき小田に外れてもらうよう提案する。予選を5日後に控えた中での突然の提案に部員は騒然。ピリピリとした空気が流れる……。

【レビュー】

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強くなった……?

 秋季大会では準決勝進出と力をつけてきた清陰高校。県内トップの福蜂とはどんな試合になるのかと楽しみにしていました。

 試合が始まるとお互い順調に点を重ね、中盤まで互角の戦い……。

???

 思っていたよりもうまく戦えていることに驚きました。その後はスバルのスパイクを止めることができず、惜しくも負けてしまいます。この第一セット終了後、スバルに無理させないため福蜂はスバル抜きのチームで戦います。その結果、清陰と福蜂は互いに3セットずつとって練習試合を終えます。

 この結果があまりに突然のことで、脳内処理が追いつきませんでした。

 まず、この練習試合自体が”フリ”であると思っていました。そもそも清陰高校自体がぽっと出の学校です。昨年の春高予選やIH予選で成績を残せていません。チカの加入と、ユニがスパイクを打てるようになったことで実力を伸ばし、秋季大会で頭角を現したわけです。いわばトントン拍子、「うまくいきすぎている」状態であったわけです。

 そこに登場したのが福蜂高校というライバルの存在です。7年連続でIH・春高本選出場、「悪魔のバ

ズーカ」という異名を掲げるエース・スバル圧倒的に強いこの高校相手に清陰は勝てるのかというドキドキ感がありました。

 そこで申し込まれた練習試合。「圧倒的強さを誇る福蜂高校」「あまりにうまくいきすぎている清陰高校」といいう前振りがあったわけですから、かなりの負けフラグが立っていました。それでも「一度大きな敗北を味わうことが成長につながる」というのはスポーツ漫画での王道パターンです。ここで敗北したとしても、”清陰には名監督がいる”という伏線やこれからの練習、春高予選では負けないという強い決意につながるものだと思っていました。

 ところがどっこい。この段階でもういい勝負をしてしまったのです。

 今のままでも十分勝てそうじゃない?

 もちろんスバルがスタメンであった第一セットは負けてしまいましたが、途中まで互角の戦いでありましたし、大敗をしたわけではありません。むしろスバルが抜けてから勝ち越したことから、勝機は全然ある状態になったのです。前回の話で「スバルは強い」「福蜂は福井一の学校」という伏線を張っていたのにもかかわらず、その強さ・凄さが全く伝わらない演出になったのは非常に残念です。フリとなった第6話まるまる無駄にした感がありますし、福蜂のライバルとしての格が一気に下がってしまいました。

 また清陰高校の何となく勝ててしまった感じが好きじゃないですね。もちろん練習も努力もしてきたのでしょう。ただそれが作中でほとんど描かれていないのです。

 高校編が始まり第3話でチカが加入し、第4話で合宿が始まりました。ここではコンビネーションの練習が行われていましたが、この回はユニチカの関係性修復」「中学の出来事を清算する」という意味合いが強く、合宿自体がそのための手段として使われていたため練習といえる感じではありませんでした。第5話ではチカの過去について、第6話で福蜂高校と、清陰高校の練習については触れられていませんそうした”努力”や”強さの秘訣”が描かれない=「何もしていないのに強くなった」という不自然な見え方になってしまっているのです。過程をすっ飛ばして、強くなった結果だけ見せられているからどうしても違和感が残りますね。

 そして大きな問題はおおよその結末が読めてしまったという点です。福井で圧倒的な実力と実績を残す福蜂高校。それ相手に互角の勝負をしてしまったわけです。つまり、福蜂以外にはまず負けるわけがなく決勝で福蜂と戦うというのはほぼ確定してしまうのです。また練習試合でここまで互角になったのなら、春高予選決勝ではほぼ確定で勝てるでしょうと予測できてしまいます

 ここで福蜂に惨敗していれば、春高はどこまで進めるのかな、福蜂と当たった時に勝てるのかどうかというワクワク感があります。ただ清陰が福蜂と同等の力があることと、勝つ見込みが十二分にあることを証明してしまったので展開がほとんど決まりました。清陰が福蜂に勝利し、春高に進むまでが予定調和になってしまいました。スポーツ漫画・アニメの醍醐味である「強豪校相手に勝てるかどうかの緊張感」がなくなったことで面白さが激減することが予測されます。

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