【感想/レビュー】『一ノ瀬家の大罪』「颯太の正体について」【考察】タイザン5

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翼の叔父説

 そこで提唱したいのが”翼の叔父説”である。

 この叔父というのは翔の弟、という意味だ。

 その場合、これまでの疑問は一通り解決できてしまう。

 まず最初に挙げた「一ノ瀬家の一員」であるという仮定だが、翔の弟であれば”一ノ瀬家”という括りには間違いなくあてはまる。 

 例え翼と直接的な血のつながりがなくとも一ノ瀬家であることは揺らがない。

 むしろ主人公を翼に据え置いたときに家族として両親・妹・祖父母というイメージを持たせて、実は叔父という関係も家族だよねというひっくり返し方はタイザン5氏がやりそうなことでもある。

 では家族写真に写っていない矛盾はどうだろうか?

 これについては、叔父だからという理由で解決できる

 翔の弟という仮定を踏まえると確かに颯太は一ノ瀬家の一員だ。

 ただ翔・美奈子家族かと言われればもちろんNOという答えになるだろう。

 耕三や幸恵、翔にとっては家族という部類だろう。しかし美奈子からしたら義理の弟であるし、翼や詩織から見たら親戚の叔父さんという括りでしかないだろう。

 だからこそ詩織の誕生日を祝うという家族写真において、求められているのは翔・美奈子家族の写真であるから、颯太が映らなくとも違和感はない。

 むしろ、映りこむほうが違和感あるかもしれない。

 それより「いや、俺は映らなくていいよ。兄さん家族の集合写真だろ」などと話す姿も想像することができる。

 このことより家族写真に映っていないという矛盾は解決できる。


 次に美奈子との関係値についてだ。

「そんなことより私はあなたの正体も思い出してる。

 止めるんなら翼に全部バラすから」

『一ノ瀬家の大罪』第13話「美奈子の追憶」

 先ほどみたこのセリフだが、美奈子が義理の弟に話しかけた発言であればわりとしっくりくる

 あえて”あなた”という言葉を使っているのも、義理の弟という少し離れた関係性がみえる。

 また颯太と美奈子が年齢関係的に対等っぽく話している部分も解決でき、颯太が20・30代であるという年齢的な障壁もクリアできる。

 また颯太自身は美奈子のことを「美奈子さん」と呼んでいる。

 仮に義理の弟であるとしたら納得のいく呼び方だ。


 3つ目に颯太の私物が置いてある違和感を払拭できるということだ。

 先ほど、颯太がカメラマンである可能性を述べてきた。

 その際の疑問点としてなぜカメラを翼に渡したのか・なぜアルバムが一ノ瀬家においてあるのかという部分を話した。

 ただこれも颯太が叔父であれば解決できてしまう。

 単に壊れた後に渡したのか、渡した後に壊れたのかは今のところ不明だ。

 (ただ「……壊れているだろ」という確信めいた発言から壊れた後に渡した説が高い)

 しかし一眼レフカメラであれば高価なもので、壊れたとしても修理に出して再び使用したほうが安いはずだ。

 ただおそらく何かしらの事情があって颯太はカメラを壊れた後に辞めてしまうことを決意したと考えられる。

 そんな時、壊れていたからと言って知人程度の関係の人間に高価なカメラは渡さないだろう。

 ただ自分の甥っ子からせがまれたのであれば渡すことも全然あり得ると思う。

 またアルバムについても、先ほど話したように友人宅のリビングにおいておくのは違和感。

 しかし翔の弟であるとしたら、あの家は颯太の実家でもある。

 実家のリビングであれば自分の作ったアルバムが置いてあっても何らおかしくはない。

 もちろん翔家族と一緒に暮らしているかまではわからないし、本来は一人暮らしをしていた可能性もある。

 ただ実家であることを考えるとあり得ない話ではない。

 そして最後に名前の親和性である。

 「翔」や「翼」は鳥・空・飛といったような語との寒冷性が深い・

 そういう意味では「颯」という字は風を連想させ、かなり近い意味の単語である。

 つまり翔と颯太が兄弟であるという示唆でもあると考えることもできるのだ。

 以上が颯太の正体に関する考察だ。

 当たっているかどうかはわからないが、こういう説があると楽しんでもらえると幸いだ。

 またどこかの記事で。

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