【感想/レビュー】『一ノ瀬家の大罪』「謎に包まれた世界観」【考察】タイザン5

マンガ

何のためのループか

 次に見ていくのは「何のためのループか」という目的についてだ。

 まず注目してほしい点として颯太は今の暮らしを強調しているというところである。

「でも大切なのは今の俺たちがどう生活していくかだよ」

『一ノ瀬家の大罪』11話「翼の再会」 作:タイザン5

 過去を見ないようにしているということもそうであるが、この世界で楽しむことをかなり強調している。

 また颯太は次のような発言もしている。

「あの事故の真相まで思い出したらお前らは

 もう家族じゃいられなくなる」

『一ノ瀬家の大罪』第13話「美奈子の追憶」

「バカだな二人とも。思い出さなければ傷つかなくて済むのに。

 そのためにここがあるのに」

『一ノ瀬家の大罪』12話「翔の発覚」

 以上の発言から見ても、「過去を忘れ去ること」「この世界を楽しむこと」に重きを置いている世界だ。

キーマン・翼

 では、この世界についてもっと深堀して考えていこうと思う。

 現在いる場所は一ノ瀬家が楽しく生活するために作り出した世界であるといえる。

 ではだれが作った世界なのだろうか?

 その主要人物として挙げられるのは翼である。

 この場面は第16話にて耕三が記憶している1回目のループである。

 美奈子・詩織・耕三が過去の出来事を探ろうとしているが、次の瞬間には病室に戻されループが開始する。

 ここで気になるのが、翼が過去を忘れることを提案していることだ。

 自分自身の部屋が「死」と書かれた文字で埋め尽くされていたのであれば相当な抵抗感を抱くだろう。だからこそ詩織や美奈子の反応は正常な反応といえる。

 それでも翼が過去の自分たちを知りたがらないのは、翼の深層心理が過去を知りたくないと叫んでいるからではないかと考えられる。

 加えて、耕三の発言に翼が映りこんでいるという部分。

 ただの背景としてであればわざわざ書き込む必要がないシーンだ。

 それにもかかわらず1回目と2回目のループにて、耕三が過去を探ろうとする瞬間に翼が映りこんでいる

 これは過去の事故について探ろうとすると、翼の力によってループがなされるという示唆ではないだろうか。

 そう考えると過去を知りたくないという点や映り込みにも理由にも納得がいく。


 つまりは翼がこの世界を作り出しているという可能性が考えられる。

 しかしながらこのことを考えるにはいくつか障壁がある。

 一つは翼が昏睡状態であることだ。

 身動きが取れないはずの翼が、こうした世界を作り出したと考えるのは少々無理が過ぎると思う。

 しかし眠っている間の夢と考えるには翔や美奈子が自我を持ちすぎている。

 考察するにあたってはもう少し要素が必要である。

 2つ目に颯太の存在である。

 第17話「翼の真実」で名前まで明らかになったが、この人物がどうやって干渉してきたのか。 

 何か入り方があるのかどうか、美奈子はどこに行ったのかという部分だ。

 また誰かの指示なのか自分の意思なのかが読めないところだ。

 本記事だけでまとめることは難しいので随時更新及び追加記事を書いていこうと思う。

 ぜひチェックしてみてください。

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