【呪術廻戦考察】『夏油が感じてしまった才能の差』【懐玉・玉折編】

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呪術界における五条悟

 呪術界における五条悟という存在は特別である。

 現代において最強の名をほしいままにしていることからもわかる通り、六眼と無下限呪術の使い手はそれだけの強さを誇る。

 それに加えて数百年ぶりの誕生となると、希少度はさらに増す。

 しかし学生時代に関してはもう少し息を潜めていた。

 もちろん名は轟かせていたが、術式反転を使えず、領域を使えなかったことからも箔が少し足りていなかったのかもしれない。

 しかしそれも禪院甚爾との戦闘を踏まえて、五条悟はついに覚醒へと至る。

 天上天下唯我独尊、という言葉通り五条悟は呪術界の頂点へ君臨する。

 その才能に恵まれたという意味においては呪術界の神に愛された男である。 

呪術界における禪院甚爾

 一方の禪院甚爾であるが、言い換えるのであれば呪術界の神に見捨てられた男であった。

 天与呪縛によって呪われた肉体は一切の呪力を持たない。

 その縛りがある代わりに超人級の身体能力を手に入れた。

 そんな彼の出生は五条家と並ぶ御三家の一家・禪院家である。

 詳細は割愛するが、禪院家というのは基本的に階級社会。

 術式を持つかどうか、相伝かどうかによって禪院家での待遇は大きく変わる。

 真希・真衣はその一例である。

 特に術式を持たず呪霊をみることができない真希は扱いが特別酷く、術師としての才能がないため実の父親からも見捨てられてしまうほどである。

 呪力を一切持たない甚爾はそれ以上の存在であり、禪院家からは忌み嫌われ、蔑まれながら生きてきたということは容易に想像できる

 居場所や立場なんてものは一切ないであろう彼が家を飛び出したのも肯ける。

 そうした階級社会である禪院家に生まれたにもかかわらず、術師としての才能を一切持たないという彼はまさに呪術界の神に見放された存在といっていいだろう。

 五条悟とは対極に位置する存在である。

 一方で呪術界の神に見放されたからこそ、天与呪縛による超人的な能力を手に入れる。

 その自分を苦しめ神に見捨てられることで手に入れた天与呪縛のフィジカルギフテッドのおかげで、神に愛された五条悟に一度は勝利するというのは何とも皮肉なことだ。

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