本記事では『呪術廻戦』という作品の中でも「器である虎杖悠仁の存在価値」というところに着目していきたいと思う。
虎杖悠仁の希少さ
まずは「虎杖悠仁の希少さ」という観点からみていこう。
初めに取り上げたい部分は第1話「両面宿儺」・第2話「秘匿死刑」にて虎杖悠仁は受肉に成功したということだ。
宿儺の指を取り込む際、当時2級術師でそれなりに知識を持っていただろう伏黒が受肉の確立を”万が一”という言葉で表現していることからも「特級呪物からの受肉が珍しいのではないか?」と読者は疑問を抱く。
「確定だね。肉体の耐性だけじゃない。
宿儺相手に難なく自我を保てる。
千年生まれてこなかった逸材」
『呪術廻戦』1巻 第2話「秘匿死刑」
特級術師である五条先生が語るほどには虎杖は稀有な存在であることが明らかになる。
ここで注目すべきことは受肉の条件として「肉体の耐性」と「自我の有無」の2つがあるということだ。
7巻・第55話「起首雷同」では羂索・真人によって特級呪物・九相図が受肉する。
その際、羂索は受肉・宿儺について次のように話す。
「アレは特別。呪物と成ってその上20に分割しても尚、時を経て呪いを寄せる化け物だよ。
それ故に器を選ぶ。」
「フーンじゃあ、九相図は誰でもいいわけだ」
『呪術廻戦』第55話「起首雷同」
ここでも話してある通り、宿儺の器となるにはそれだけ特別でなくてはならないのだ。
まずはその肉体の耐性という部分だ。
とんでもない力を秘める宿儺を体に受け入れるということは、それだけ強固で頑丈な肉体である必要がある。
そして宿儺の器という意味では自我の有無がかなり重要になってくる。
この序盤では虎杖が自我を保てるかどうかという部分に注目がいきがちだが、実際はなんで自我を保てているの???という状況である。
死滅回遊編では受肉した過去の術師が多く参戦する。
鹿紫雲、レジィ・スター、烏鷺、石流、ドルゥヴ、万などなど。
1級・特級術師レベルがごろごろと受肉する中で、誰一人として元の体の自我をみせていない。
来栖は自我を持つが、それは天使独自のルールであり、来栖の力で自我を得ているわけではない。
受肉時には器を選ぶという発言から、受肉者の実力・能力と求める器の強度には一定以上の相関関係があるといえるだろう。
1級・特級クラスが受肉して誰一人自我を保てていないが、宿儺の力はそれ以上だ。
乙骨とバチバチにやりあっていた石流を瞬殺できてしまうほどの強さを誇るのが宿儺である。
その1級・特級クラスが完全受肉を果たしている中、遥か上の実力を誇る宿儺相手に自我を保てているのは異常であるほかない。
虎杖にはその特別な才能があったからこそ、秘匿死刑を免れることができた。
「呪いの王」として君臨する激ヤバ呪物を処理するためには虎杖という器が必須なのだ。
それは宿儺の器になりうる人物がいるかどうかという点でもそうだが、宿儺の指を体に取り込む事故が起きるという確率も相当低い。
衛生面でも管理面でも、宿儺の指を自ら取り込もうとすることはないだろう。
一般人が自ら取り込もうとするはずはなく、術師であればその危険性をわかっているからこそ呪物は取り込むことはない。
その2つの意味でも「宿儺の器となりうる人物」が今後現れる確率は相当低いものである。
だからこそ五条先生は千年に一人の逸材であると述べたのだ。
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