【感想/レビュー】『水星の魔女』【プロローグ考察】ガンダムシリーズ

アニメ

世界観の不明瞭さ

 そして世界観の不明瞭さという点だ。

 特徴としてまずナレーターや語り部がいないということが大きい。

 先に述べた「パーメットリンク」「インターコネクト」「ガンドフォーマット」という単語はSF感を示す一つではある。

 が、これらの解説がプロローグではされない

 そのため、「いったい何を示す言葉なんだ」と謎を抱えた状態で物語が進んでいく

 ただこれらの用語は限定的で本編とはあまり関係が深くなさそうであり、解説がなくてもあまり問題がないだろう。

 しかし、これだけに留まらない。

 「オックスアーツ」「バナディーズ機関」「評議会」とよくわからない組織名が次々と登場する。

 これらは物語の大筋に関わるであろう組織名である。

 しかし、これらでさえもどういう組織なのかを明確に丁寧に語ることはない

 1話を繰り返し視聴、またはプロローグ以降の話を見ることで理解はできる。

 ただ、物語上で「○○はこういう組織で、こういう役割を担っています」などといった解説をするという過程を飛ばしている

  つまり、私たち視聴者は「『水星の魔女』という世界観の中にいる人物」として扱われているのだ。

 プロローグの主人公ポジションであるエルノラにとっては「パーメットリンク」「インターコネクト」、「オックスアーツ」「バナディーズ機関」などといった用語は当たり前、知っていて当然なのだ。

 この世界の住人があえて用語を解説する必要性はない。

 むしろ用語を解説してしまうと世界観が崩れる恐れがある

 私たちが会話の途中に「信号機とは……」などと解説を始めだしたらおかしいだろう。

 ここで必要性がないにも関わらず解説をしてしまったら視聴者は違和感を覚えるはずなのだ。

 会話や展開の不自然さを無くし、物語にスピード感を持たせているので気持ちよく見ることができるのだ。

展開のわかりやすさ

 それであっても視聴者が物語についていけ、面白いと感じるのだからすごい。

 これはおそらく展開のわかりやすさに起因するものだと考える。

 世界観の不明瞭さということで用語の解説がほとんどないとは言ったものの、

 用語が理解できなくても話の筋は理解できるような仕組みになっている

  1. とある組織がガンダムを製作中だが未完成
  2. そこに巨大な権力・敵組織が襲ってくる
  3. 4歳の娘が才能を未完成のガンダムを開花させて窮地を脱する

と大筋自体は理解しやすいものになっている。

先ほど「世界観の不明瞭さ」とは書いたものの、ニュアンスだけは伝わるように考えられる「余白」が残されている

 「パーメットリンク」「インターコネクト」はガンダムを動かすために必要なんだな、エルノラたちは「評議会」と揉めているのだななど、「何となく」で伝わるのだ。

 ただ「何となく」話の流れを理解しつつも、「何となく」でしか理解できていない

 そのはっきりしない部分が次の話への期待感へ繋がる

 非常に含みを残し、おそらく伏線も多くあるだろうプロローグではないかと思う。

まとめ

 ガンダムシリーズは初めての視聴でしたが、なかなかに面白い展開であると感じた。

 世界観の謎を残して期待感を高めつつ、バトルシーンも良く描かれており、戦争に巻き込まれる子供の無邪気さと悲惨さも描いた濃厚なプロローグでした。

 また記事を書くつもりなので、よろしければぜひ。

 次回の記事↓

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