トリオンの壁
しかしオサムはここでひとつの壁に阻まれる。それがトリオン能力の差である。
B級の装備を身に付け、烏丸のもとで訓練をを続けたことによってバンダーやモールモッドとトリオン兵を撃破するまでの成長をみせたオサム。
しかし、敵陣営の主力である新型トリオン兵・ラービットはボーダー内の戦力と比較しても強い。
レプリカは「A級隊員であったとしても単独で挑めば食われるぞ」と話していることから、個としての戦闘能力はこれまでのトリオン兵とは一線を画す。
事実、A級木虎もラービット相手のタイマンであればギリギリでの勝利。
特に頭と両腕の装甲は厚く、特に両腕については東さんのアイビスを弾いてしまうほどの硬さを誇る。
そのため正面から火力で対抗するか、じわじわと削りテクニックで押し勝つかの2つの戦い方がある。
チカはそのトリオン能力を遺憾なく発揮し、アイビスを使用して正面から装甲を破るという姿を見せる。
A級3位・風間隊はパワーでゴリ推すという戦いを避け、装甲が薄い部分をひたすら削ることで勝利する。
そんなラービットであるが、大規模侵攻編の中盤にて出水・米屋・緑川らA級隊員と合流したオサムたちのところへ数体が現れる。
色付きラービット相手に苦戦を強いられるA級部隊を何とか支援したいと考えるオサムは、自分が射手であるという利点を生かし中距離支援を試みる。
しかし、ラービットは避ける行為すらしない。避けるまでもない攻撃と判断されてしまったということだ。
この原因はトリオン能力の弱さにある。
以前よりオサムのトリオン能力の弱さを指摘されていた。
まずは第1話のバムスター戦にて、レプリカは「出力が弱い」と話すシーンがある。
ここではのちに明らかになる訓練用のトリガーであったためという可能性も否定はできない。
しかし第3~4話・モールモッドが学校を襲った時にはオサムでは文字通り歯が立たなかった装甲に対し、同じトリガーを使用して空閑は圧倒する。
もちろん経験や技術の差も考えられるだろう。
このことについて、レプリカは「トリオンの差」であると説明している。
トリオン能力の差がトリガーの出力と直結していると述べている。
空閑と比べてオサムのトリオン能力が小さいと指摘しているのだ。
次に触れられるのはチカのトリオンを解析するというタイミングである。
レプリカは人のトリオン量を可視化できるというものであるが、そこでオサムも依頼する。
しかしながら触れられてきた通り、オサムのトリオン能力は平均以下のものであることがはっきりとなる。
トリオン能力の弱さを指摘されていたモールモッド戦だったが、正式なトリガーを使用したこと・オサムの技術が身についたことで撃退するに至った。
また風間・緑川との模擬戦はトリオンを気にすることなく勝負をしていた。
オサムは次第に成長しているようにみえていたが、ここにきて序盤に指摘されていた“トリオン能力の差”という壁にぶち当たるのであった。
ただオサムという凡人がいるからこそ、チカが持つトリオン能力の異常さが際立っているともいえる。
避ける事すらされなかったただの通常弾がラービットの装甲を破り、一発で沈めてしまう。
トリオンモンスターとしての力を強調するシーンでもあるが、一方でオサムの平凡さとトリオン能力の壁という課題が目立つ箇所でもある。
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