【感想/レビュー】『一ノ瀬家の大罪』「颯太の正体について」【考察】タイザン5

マンガ

颯太とカメラ

 さてこれまでの話を振り替えるとカメラがたびたび登場していた

 これは第1話の翼の部屋が映し出されてた時からすでに描かれており、それ以降も頻繁に登場し続けている。

 そして第9話「翼の救済」では”壊れたカメラと部屋を出ていく翼”という情景を詩織が思い出しており、一ノ瀬家の過去を知るための重要ツールであることが示唆されていた。

 そんな重要アイテムであるカメラだが、今回第17話「翼の真実」では颯太の所有物であったような描かれ方をされている。

 翼が思い出した過去では黒のインナーに白い上着を羽織った人物がカメラを構えている。

 これは黒Tシャツと白カーディガンを着ている颯太の服装と合致する。

 また翼が所有していたカメラに対し「捨てたほうがいい」と気にした様子をみせる。

 それに加えて翼が誰かに写真を撮ってもらったことを思い出すと頬に汗を浮かべ、自分の名前や翼の現状を告白する。

 このことからも翼たちの写真を撮影していた人物は颯太であると考えられる。

 仮にそうだとした場合、颯太の所有物であるはずのカメラがなぜ翼の部屋にあったのか、またなぜ壊れているのかというという問題が発生する。

 カメラというのは高価な機械であり、壊れたとて修理可能なケースがほとんどだろう。

 またそれを知り合いだからと譲り渡すのは違和感がある。


 そして次に気になる部分は耕三が取り出したアルバムだ。

 残された家族はアルバムをもとに記憶を取り戻そうとしているが、写真には景色ばかりが写されている。

 もちろんこの世界の仕組みとして本来写されていた家族が消されている可能性もある。

 しかし家族写真には顔が写されていることを考えると、もともと風景だけを映し出した写真という可能性が高い

 その場合に富良野という遠くの土地を訪れているにもかかわらず、家族旅行の写真で景色ばかりが写されているというのはおかしな話だ。 

 第1話でみたように、普通は家族同士の思い出を記録するだろう。翼や詩織といった子供と一緒であればなおさらだ。

 つまり意図的に風景写真を撮影した可能性が非常に高い。

 そして、颯太がカメラの所有者であったことを考えると、風景をメインでとるプロカメラマンの颯太が残したものであると考えるのが順当ではないだろうか。

 そうであれば翼たちが写真を見てもあまり思い出せず、アルバムには風景ばかりが収められていてもおかしくはない。

 ここであげられる問題点はこのアルバムがリビングに存在していたということだ。

 例えば颯太が一ノ瀬家の誰かと知り合いや友達・同僚の仲だとして、写真集でもないただのアルバムを贈るだろうか。

 またそれをリビングにおいておくだろうか?

 販売できるようなものではない、いち知り合いのアルバムをリビングにおいておくとは考えにくい。

 このカメラやアルバムのことを考えたとき、颯太が一ノ瀬家の家族であるという可能性が浮かび上がる。

 高価なカメラを譲ったり、アルバムがリビングにおいてあるのも家族であれば特に気にはならないだろう。 

 以上の前提を踏まえて、颯太の正体について探っていこうと思う。

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