虎杖の危険性
ただ虎杖は希少な逸材である一方、同じくらい危険視されている諸刃の剣であった。
呪術総監部から秘匿死刑を命じられ、楽巖寺学長も殺害を命じていた。
先ほども述べたように受肉プレイヤーたちが自我を保つ姿は見られない。
だからこそ自我を保てている虎杖が異常なのであり、管理者として存在を危惧するのも当然だ。
その危険度は受胎戴天編ではっきりとしており、宿儺が一時的に肉体の所有権を得て暴走するが、たった指2本分でも当時2級クラスの伏黒が遊ばれる一方的な展開。
もしも何かの拍子に宿儺が肉体の所有権を手に入れてしまったら大量虐殺が起こりかねない。
今は大丈夫だとしても今後何が起こるかは一切わからない。
そういったリスクを排除したいというのが呪術総監部の指針だった。
ただ五条先生は自分がいるからという絶対的な自信を持っており、事実として五条先生がいれば宿儺が体の所有権を手に入れたとしても対処できるだろう強さを誇っていた。
しかし渋谷事変では五条先生が封印されてしまうという未曽有の事態が発生する。
加えて器としての能力に長けていた虎杖も、渋谷事変では11本の指を取り込まれるという事件が発生し、宿儺に肉体の所有権を渡すこととなる。
あくまで結果論ではあるが虎杖がいたことにより日本壊滅の狼煙が上がったのだ。
虎杖悠仁の出自
さて、宿儺の器として突出すべき才能を持つ虎杖悠仁であるが、渋谷事変以降は彼の出生がピックアップされる。
初めは虎杖vs張相のシーン。接戦に持ち込むもあと一歩のところで敗れる虎杖。
止めをささすその瞬間、張相の頭には存在しない記憶が浮かび上がる。
その後、張相は虎杖悠仁と血がつながっていると主張する。
渋谷事変を終えた17巻、乙骨・禪院直哉との死闘を終えた虎杖。虎杖は夢の中で昔の記憶を思い出す。
父・仁が子供を欲しがっていたがその前に母・香織が亡くなったこと。亡くなったはずの香織がなぜか生きており、その二人の間にできた子供が悠仁であること。そして、額には縫い目があることが明らかになる。
肉体を乗り換える術式を持つことが明らかになった羂索は、九相図だけではなく虎杖悠仁と血のつながりがあることが示唆される。
ここで触れておきたいのが羂索の目的遂行意識の高さだ。
これまでみてきたように、平安の世をとりもどすという目的のためだけにかなりの年数と準備を重ねてきている。
現代における羂索の目的であるが、第202話「血と油」にて天元と非術師の同化による呪霊化であることが明言される。
17巻・145話「裏」では、羂索が過去2度にわたり六眼に敗れていることが語られるが、それらの襲撃の理由も同様のものであると考えられる。
以上のことを踏まえると、虎杖悠仁という存在の価値が揺らぎだす。
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